この声明を錦の御旗にして、連絡会と他の幾つかの左翼組織が合同で、全国の50を超える大学や研究機関の長に対して、防衛省の公募研究を中止するように圧力をかけた。つまり日本学術会議の声明が、全国の大学の学問の自由を奪う実働部隊と連動し、NHKや朝日新聞、北海道新聞、しんぶん赤旗などと一緒になって圧力をかけたのである。
学術会議は2015年に中国科学技術協会との間で相互協力の覚書を交わしたが、同協会には北京航空航天大学やハルビン工業大学の研究者も参加している。これらの大学は、経済産業省が安全保障輸出貿易管理令に関連する大量殺戮兵器の研究機関としてリストに掲載している。学術会議はそうした中国の軍事研究機関との交流をやめるよう、なぜ言わないのか。(2020.10.28 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
国基研理事、東京工業大特任教授。1952年、東京都生まれ。東京工業大理工学研究科原子核工学修士課程修了。専門は原子炉工学。東芝に入社し原子力の安全性に関する研究に従事。同社電力・産業システム技術開発センター主幹などを務め、2007年に北海道大大学院教授に就任。同大大学院名誉教授・特任教授を経て現職。