メディアが発信し続ける福島への風評被害 1|渡辺康平

メディアが発信し続ける福島への風評被害 1|渡辺康平

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から平成30年3月11日で丸7年を迎えました。「もう7年」とみるか「まだ7年」と受け止めるか、立場や環境によって受け止め方は様々でしょう。 大震災と原発事故が発生した当時を思い返すと、「福島県には人が住めなくなる」「内部被ばくによる癌が増える」といった無責任な情報が、評論家や自称科学者たちによって、メディアを通じて垂れ流されていました。


震災から今年で7年が過ぎましたが、未だに海外における福島県産品に対する風評被害の払拭は進んでいません。これは国や福島県の努力不足と指摘するだけではなく、メディアの報道姿勢にも大きな問題があるのではないでしょうか。

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朝日新聞の「鼻血」報道

これまでにもメディアは再三にわたって、福島県に対する風評被害を広めてきました。中でも地元民の心を深くかき乱したのは、「放射能被害による鼻血」に関する報道です。

特筆すべきは、朝日新聞が東京電力福島第一原発事故をテーマに平成23年10月から平成28年まで長期連載「プロメテウスの罠」の第9回「我が子の鼻血 なぜ」(平成23年12月2日)です。少し長くなりますが、引用します

第9回「我が子の鼻血 なぜ」

福島から遠く離れた東京でも、お母さんたちは判断材料がなく、迷いに迷っている。たとえば東京都町田市の主婦、有馬理恵(39)のケース。6歳になる男の子が原発事故後、様子がおかしい。

4カ月の間に鼻血が10回以上出た。30分近くも止まらず、シーツが真っ赤になった。心配になって7月、知人から聞いてさいたま市の医師の肥田舜太郎(94)に電話した。肥田とは、JR北浦和駅近くの喫茶店で会った。

「お母さん、落ち着いて」。席に着くと、まずそういわれた。肥田は、広島原爆でも同じような症状が起きていたことを話した。放射能の影響があったのなら、これからは放射能の対策をとればいい。有馬はそう考え、やっと落ち着いた。周囲の母親たちに聞くと、同じように悩んでいた。

「原発事故後、子どもたちの体調に明らかな変化はありませんか」。すると5時間後、有馬のもとに43の事例が届いた。いずれも、鼻血や下痢、口内炎などを訴えていた。

こうした症状が原発事故と関係があるかどうかは不明だ。かつて肥田と共訳で低線量被曝の本を出した福島市の医師、斎藤紀は、子どもらの異変を「心理的な要因が大きいのではないか」とみる。それでも有馬は心配なのだ。

首都圏で内部被曝というのは心配しすぎではないかという声もある。しかし、母親たちの不安感は相当に深刻だ。たとえば埼玉県東松山市のある母親グループのメンバーは、各自がそれぞれ線量計を持ち歩いている。(前田基行)〉

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