河野防衛相(当時)のカウンター
6月1日に河野太郎防衛大臣(当時)は自身のブログにて、予算や都心上空を飛行した経緯について説明しています。
〈なかにはこんなことにいくら予算をかけたんだというご批判めいたメールもありましたが、ブルーインパルスの予算は、T―4練習機の訓練飛行に要する経費と併せて計上していますが、今回、このなかで実施しています。 ブルーインパルスの燃料費、スモークに使う発煙油、随伴機と整備員を輸送するコスト、合計して約360万円です〉
また、ブルーインパルスを飛ばすより、医療関係者に手当を配るのが先だろうという意見があったことに対しては、河野大臣は「それは別物だと思います」と、はっきりと述べています。
さらに、今回の飛行経緯について。
〈今回の決定は、私から、航空幕僚監部に対し、医療従事者への敬意と感謝を示すためにブルーインパルスを飛行させることができないか検討するように指示を出し、ブルーインパルスが6機で飛行できるのは5月末までに限られることから、一度の飛行で、全国の医療従事者に敬意と感謝を表すためには、首都東京の上空を飛行させることにしたいという案が報告され、その通り実施するように指示しました〉
その他にも、東京都多摩地区を飛行しなかったこと、ダイヤモンド・プリンセス号に対応した横浜や、感染者を受け入れたホテル三日月に感謝と敬意を示さなかったのか等、様々な意見が河野大臣に寄せられた、とブログに書かれています。
このように、防衛大臣がブルーインパルスの都心上空飛行について予算や決定の経緯を公表することは、批判勢力に対する適切なカウンターパンチでした。特に発信力が強く、はっきりと発言される河野太郎氏が防衛大臣で良かったと心の底から思います。
河野大臣のブログについて、元空将の織田邦男氏は自身のFacebook で次のように述べました。 〈こんなことを大臣が説明しなければならない国なんて、やはり日本だけだろうね……同じことを米国では空軍のサンダーバード、海軍のブルーエンジェルスがやっているが、称賛の拍手こそすれ、誰一人文句を言う人はいない。少なくとも一片のニュースにもなっていない〉
織田元空将の指摘するとおり、空軍が医療従事者に感謝と敬意を表する飛行は、アメリカやイタリアおよびカナダでも行われています。織田元空将が遺憾に思うように、空軍に対して称賛の拍手こそすれ、誰一人文句を言う人はいません。世界から見て、日本だけが非常識な状況になっています。
反戦団体による組織的な妨害活動
歴史を振り返れば、航空自衛隊とブルーインパルスは苦難の歴史を背負ってきました。2000年7月には、訓練を終えて帰還する途中に宮城県牡鹿郡牡鹿町(現・石巻市)の光山山頂付近にて2機が墜落、3名が殉職する事故が起きています。2011年の東日本大震災では、拠点となる松島基地が津波で被災しています。
しかしそれだけではなく、航空自衛隊とブルーインパルスが、反戦団体による組織的な妨害活動を受けていたことは、読者の皆様はご存じでしょうか。
航空自衛隊の各基地における航空祭では、イベントの最後にブルーインパルスの曲技飛行が展示されます。航空祭では多くの航空ファンが全国各地から集い、ブルーインパルスのフライトに歓声を上げていますが、基地の正門前では「ブルーインパルスの展示飛行反対!」という場違いな声も聞こえてきます。
その反対運動の先頭に立つのは日本平和委員会です。彼らのHPによると、次のように書かれています。 「北海道から沖縄まで全国47都道府県で、草の根から平和を創るために活動しているNGOです」 「当会は、思想・信条・政派の違いをこえて、規約に賛同する個人をもって構成される個人加盟の団体です」
代表理事の有馬理恵氏は劇団俳優座所属、石川康宏氏はマルクス経済学者、岸松江氏は共産系団体から新宿区長選に立候補経験あり、内藤功氏は共産党元参議院議員です。
思想・信条の違いをこえて、と書かれていますが、「いわゆる共産党系の団体」といえるでしょう。今年の2月の創立70周年記念レセプションでは、共産党から小池晃氏、井上哲士氏が出席しています。