【表現の不自由展問題】中日と朝日への公開質問状|河村たかし

【表現の不自由展問題】中日と朝日への公開質問状|河村たかし

「高須クリニック」の高須克弥院長が6月2日、地元・愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)運動を始めると発表した。河村たかし名古屋市長もこの運動に全面的に賛同している。リコール運動の発端となった「表現の不自由展」をめぐって、メディアは「善の大村」「悪の河村」という図式をつくり、激しく河村市長をバッシング。なかでもひどかった中日と朝日の報道を、河村市長が徹底批判!


ありえない意見広告拒否

中日、朝日の報道を見たときは、「はぁ、またか」と思いましたが、他の報道に比べ、あまりにひどいので、抗議するに至りました。朝日に抗議したのは初めてですが、中日とは過去二回、やりあっています。
 
最初は、2012年、私が「南京事件というのはなかったんじゃないか」と発言して批判されたときです。「南京事件」否定発言に対するバッシングに疑問を持った有識者らが、中日に、南京事件について自由な議論を呼びかける意見広告を掲載しようとしました。
 
中日は一度、許可したのですが、あとから「社論に合わない」と言い始め、掲載を拒否したのです。裁判で争ったのですが、東京地裁は有識者団体の申し立てを却下。

「あくまで編集権の範囲内」というのが、その理由でした。もちろん、新聞社には編集権があって然るべきです。明らかに、悪意のある、ろくでもない広告であれば、拒否するのは当然だと思います。
 
しかし、南京事件の一件は、「議論をしませんか」という意見広告で、そんなにひどい内容のものではありません。東海地区で最大の発行部数を誇る中日には、広告を載せる責務があるのではないか。
 
アメリカのジャーナリストの友人に掲載拒否の話をしたら、「それだけ大きな影響力のある媒体なら、普通は載せなくちゃいけない。アメリカではありえないな」と言っていました。
 
もう一つ、中日とやりあったのは、2018年の名古屋城の天守閣木造復元のときです。1945年の空襲によって天守閣が焼失。その後、市民の多大な寄附により、1959年に鉄骨鉄筋コンクリート造の天守閣を再建しました。
 
しかし、再建から約60年が経過し、設備の老朽化や耐震性の確保などへの対応が必要になってきた。そこで、私は改修に伴い、木造だった本来の大天守を復元しようと決めました。

事実に反した中日の社説

私が木造にこだわるのには理由がありました。復元には、木造建築の伝統技術が欠かせません。大規模な木造建築物の築造が減少し、職人技の消滅が危ぶまれるなか、天守閣の木造復元は伝統技術を次代へ継承する機会になります。
 
人類には、先人がつくったものを次世代に伝える義務がある。名古屋城という四百年前の叡智の賜物を1000年後まで残すことは、いまを生きるわれわれの社会的使命でしょう。
 
しかし、これが中日から大バッシングを受けた。
 
中日は「名古屋城木造化 シンボルになり得るか」(2018年7月4日)と題する社説で、木造復元をこう批判しました。

〈市民の不戦平和への思いが詰まった現在のコンクリート製天守には、文化庁も言うように「本物」の価値がある。あえて「本物」を壊して造る──。その意味をいま一度、十分かみしめるべきだ〉
 
中日は「市民の不戦平和への思いが詰まった」と、まるでコンクリート再建が民意だったかのように書いていますが、はたして本当なのか。私はしつこい性格なので、過去の名古屋城再建に関する報道を調べてみました。
 
私が生まれた昭和23年、中日が名古屋城再建について地元市民へアンケートをとっており、その結果を見ると、なんとコンクリート派より木造派のほうが2割も多かった。
 
これで「市民の思いが詰まっている」とは言えないでしょう。中日は自社の過去のアンケートを知らなかったのかどうかは定かではありませんが、右の社説は明らかに事実に反しているし、ミスリードです。

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