【表現の不自由展問題】中日と朝日への公開質問状|河村たかし

【表現の不自由展問題】中日と朝日への公開質問状|河村たかし

「高須クリニック」の高須克弥院長が6月2日、地元・愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)運動を始めると発表した。河村たかし名古屋市長もこの運動に全面的に賛同している。リコール運動の発端となった「表現の不自由展」をめぐって、メディアは「善の大村」「悪の河村」という図式をつくり、激しく河村市長をバッシング。なかでもひどかった中日と朝日の報道を、河村市長が徹底批判!


ピントのぼけた社説

2019年10月24日、私はツイッターで中日新聞と朝日新聞へ送付した「抗議申入れ」(中日)、「見解書」(朝日)を公開しました。
 
抗議したのは「表現の不自由展・その後」をめぐる問題で、私を名指しで攻撃した記事についてで、9月12日付で送付していたにもかかわらず、現時点(2019年11月15日)で2社から何の返答もないため、公開に踏み切りました。
 
抗議した当該記事を紹介しましょう。一つは中日の社説「社会の自由への脅迫だ」(8月7日)で、私をこう批判しています。

〈河村たかし名古屋市長は「日本国民の心を踏みにじる」として少女像などの撤去を要請。菅義偉官房長官も、国の補助金交付について慎重に検討する考えを示した。これは、日本ペンクラブが声明で「憲法が禁じる『検閲』にもつながる」と厳しく批判したように、明らかな政治による圧力だ〉
 
ピントがずれていると言わざるを得ません。私はなにも、展示物がけしからんから撤去しろと言っているわけではないのです。これは、月刊『Hanada』2019年12月号の門田隆将氏との対談(https://hanada-plus.jp/articles/378) 
でも言ったことですが、名古屋市主催の公共事業だからまずいと言っているだけで、作家に「日本人を侮辱するような作品はつくるな」などとは一度も言っていません。
 
私は一応、名古屋市民の信託を得て市長をしています。市長の仕事は、市民の皆さんから預かった税金を適切に使うこと。そのために、税金を投入する際には最低限、公共性をチェックする必要があります。あいちトリエンナーレは名古屋市の主催。昭和天皇の肖像をバーナーで燃やし、足で踏みつける映像や少女像などの展示がある催しに税金を投入するのは、どう考えてもまずい。
 
だから、私はそれらの展示物については撤去すべきだと言ったわけで、もしこれを「検閲」というのならば、公共性をチェックする県や市の議員、職員、みな検閲官ということになってしまう。中日は県議会、市議会などを「検閲だ」といって否定するのでしょうか。

高橋純子の“薄っぺらい”文章

私からいわせれば、「検閲」しているのは中日をはじめとするマスコミのほうです。私は、抗議書を公開してから、記者会見で立て続けに中日、朝日の報道に抗議したことを話しているのですが、マスコミが「検閲」して、どこもそのことを報じてくれません。

 朝日の記事は、高橋純子編集委員のコラム「多事奏論」の「表現の自由 『権力なんかないよ(笑)』に震える」(2019年8月21日)と題する文章です。

〈無自覚でカジュアルな権力行使は、自覚的なそれよりある意味おそろしい……はい。同様のことは、名古屋でも。
 彼はきしめんのように薄い男だった──とはおそらく誰も書いてないが、名古屋市の河村たかし市長は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」で展示されていた少女像の撤去を求め、「日本人の心を踏みにじる」 「表現の自由は相手を傷つけないことが絶対(条件)」などと語ったという。この認識がいかに浅薄かはさんざん指摘されているので繰り返さないけれど(後略)〉


正直、持って回ったような文章で、何が言いたいのかよくわからないコラムだったのですが、薄っぺらい男と中傷されて黙っているわけにはいきません。薄っぺらいのは高橋氏の文章のほうでしょう。

コラムのなかでは、私の認識が「いかに浅薄かはさんざん指摘されている」と書いていますが、はたしてそうでしょうか。私への批判はいろいろ読んでいますが、耳の痛かったものは一つもありません。
 
しかも高橋氏は、名古屋名物のきしめんをネガティブなものとして使っている。きしめんは薄いけれど噛めば味があり、名古屋市民のみならず、全国で親しまれている郷土料理。朝日に送付した「見解書」の末尾に、私はこう書きました。

〈なお、「きしめんのように薄い男」という表現は、名古屋の名物であるきしめんを宣伝していただき大変光栄であるが、きしめんは、薄いが幅があり、味も良いので、肯定的な表現として使っていただきたい〉

関連する投稿


小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

緊迫する国際情勢を受けて、立憲民主党はさぞかし安全保障をめぐる問題に真摯に向き合うと思いきや、そうではなかった――。自称〝憲法学者〟である小西洋之議員だけではない。立民の質問には、あきれるほど軽く、また本質から外れたものが実に多くみられる。(サムネイルは立憲民主党「国会解説2023」生配信より)


「統一教会魔女狩り報道」自民党議員は米子市長を見習え!|花田紀凱

「統一教会魔女狩り報道」自民党議員は米子市長を見習え!|花田紀凱

「接点」「ズブズブ」と連日のように「魔女狩り報道」を行っているメディア。「接点」があって何が問題なのか? 「ズブズブ」の定義とはいったい何か?


韓国の反日プロパガンダを撃退せよ!|和田政宗

韓国の反日プロパガンダを撃退せよ!|和田政宗

なぜ韓国は「反日プロパガンダ」から卒業できないのか。韓国のプロパガンダの元になっているのは、日本の朝鮮統治が「植民地支配」「侵略」であったというものだが、当時の日本の統治は、「植民地支配」とも「侵略」とも言えないのである――。


安倍元総理の国葬「反対」 日本人の想いをゆがめるメディアの世論誘導|和田政宗

安倍元総理の国葬「反対」 日本人の想いをゆがめるメディアの世論誘導|和田政宗

選挙運動中の人物を銃撃し殺害することが、「民主主義への挑戦」でなくて何であろうか。メディアの安倍元総理の国葬に対する攻撃は、「疑惑が払しょくされていない人物を国葬にして良いのか」などの論であるが、無理矢理その流れを一部メディアが作り出そうとしている――。


朝日はどこまで安倍総理を貶めれば気が済むのか|花田紀凱

朝日はどこまで安倍総理を貶めれば気が済むのか|花田紀凱

安倍総理の死の翌日、安倍総理を批判する記事を掲載した朝日新聞。しかし、朝日の「反安倍」はなまやさしいものではなかった……。


最新の投稿


LGBT法案 迷走する自民党の内幕|和田政宗

LGBT法案 迷走する自民党の内幕|和田政宗

特命委員会の役員は「懸念点は国会で十分な審議をし、払拭する」と党内の会議で我々に述べていたが、衆院内閣委員会での質疑は、10分×8会派で1時間20分、修正案についても約40分の計2時間だった――。


【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【埼玉県川口市 クルドの現場を行く②】地元住民の苦悩|西牟田靖

【埼玉県川口市 クルドの現場を行く②】地元住民の苦悩|西牟田靖

入管法改正案についての報道が相次いでいる。そのトーンは反対一色。難民を認定しない日本政府や入管は悪、翻弄される外国人は善――という非常に単純化された報道ばかり。その一方、不良外国人の迷惑・犯罪行為に困る地元住民の声はほぼ封殺されたままだ。


原子力規制委の抜本的改革が必須|奈良林直

原子力規制委の抜本的改革が必須|奈良林直

柏崎刈羽原発で東電の社長を厳しく追及し、社員のやる気をなくさせているのが現在の原子力規制委の山中伸介委員長。電力事業者の取り組みがうまくいかないのは、規制委の采配が下手だからだ。我が国でも米国のように、規制委の抜本的改革が必要である。


広島サミット成功と浮かれていいのか|田久保忠衛

広島サミット成功と浮かれていいのか|田久保忠衛

お祭り騒ぎや日本式のおもてなしではどうにも片付かない冷厳な現実が待ち受けている。己を知らない国に救いはない。