【周庭インタビュー】中国の香港大弾圧はとまらない|聞き手・福島香織

【周庭インタビュー】中国の香港大弾圧はとまらない|聞き手・福島香織

中国の全国人民代表大会(全人代)は5月28日、香港での反中活動を取り締まる国家安全法制の導入を決めて閉幕した。香港では、中国の統制が強化されて「一国二制度」が崩壊しかねないとして懸念の声が広がり、今後抗議活動が激しくなることが予想される。『Hanada』2020年7月号では、”民主化の女神”周庭氏に独占インタビューを行い、新型コロナ感染拡大の中で闘う香港の人々について話を聞いた。聞き手はジャーナリストの福島香織さん。今回はそこから一部を抜粋して掲載。日本から香港にもっとエールを!


──最近、中国の中央政府駐香港聯絡弁公室(中聯弁)の駱恵寧主任が、国家安全条例の成立を急ぐように公式に発言しましたね(編集注:インタビュー時は成立前)。2003年のSARSのあとも国家安全条例を成立させようという圧力がありましたが、新型コロナ肺炎に乗じて、今度こそ中国は本気で国家安全条例を成立させるつもりじゃないでしょうか。これは、逃亡犯条例改正以上に香港にとっては危険じゃないでしょうか。

周庭 国家安全条例は本当に怖いです。新型コロナがあってもなくても、中国は今年、基本法23条に基づく国家安全条例の成立をやろうとしていたと思います。国家安全条例をつくれば、国家政権転覆煽動罪や国家分裂罪のような罪で、民主活動家や中国に批判的な人たちを政治犯として捕まえることができます。

最近、香港の立法会で親中派が本当にやりたい放題なんです。議席の過半数を占めていますから、通したい政策はがんがん通せる。国家安全条例を含めて、次々と香港をコントロールしようとするような法律を可決しようという動きが出ています。たとえば国歌法が審議されて決まりそうになっていて、それに民主派議員が一所懸命抵抗しています。

――中国は香港の憲法を自分たちの都合の良いように解釈して変えてしまったのです。香港政府はこれに抵抗もせず、あっさりこの変更を受け入れてしまいました。これはあまりにひどいですね。

周庭 このやり方をみれば、中国政府は自分たちを法治国家だという資格はないと思いますね。自分の好きなように憲法や法律を解釈したりしたら、法律が存在していないと同じでしょう。中国が法治国家でないという証です。逃亡犯条例改正、国歌法、国家安全条例、全部香港の法治を破壊する危ない法律です。

もちろん、国家安全条例があってもなくても、すでに香港警察は中国の公安警察のように、いろんな理由をこじつけて、市民を逮捕したり弾圧したりしています。でも、この条例ができれば逮捕する理由、弾圧する根拠がもう一つ増える、ということです。逃亡犯条例改正も国歌法も国家安全条例も、全部私たちにとっては認められないものです。

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このほか、新型コロナ感染拡大という非常時でもデモを継続すること、感染よりも逮捕が危険であること、先日亡くなった志村けんさんや日本国民へのメッセージなど、様々なことを語っていただきました。続きはぜひ本誌で!

月刊『Hanada』2020年7月青葉号

聞き手

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