ひたひたと進む香港の監視社会化
――気になるのは、新型コロナウイルス対策として、感染者の監視のやり方です。香港への入境者に対して、QRコード付きリストバンドとGPSで隔離期間中に外に出たらわかるようになっていて、しかも隔離期間中に外に出たら罰金2.5万香港ドルに禁固6カ月と厳しい罰則も科されます。新型コロナ肺炎後の監視社会化につながりそうで、ちょっと怖いんですが。
周庭 あのシステムは抜け穴がいっぱいあります。香港のメディアでも報じられていますが、パスワードの発行が遅れたり、簡単に腕から外れたりして、十分に機能していません。リストバンドをしたまま、普通にスーパーに行ったりレストランに行ったり、隔離施設から逃亡したりする人がたくさんいます。
結局、隔離指示に従うかどうかというのは、その人の意識次第なんですよ。あの政策自体はあまり有効ではないと思います。今回のコロナ対策については、政府はあまり大したことをやっていません。
それより、香港警察がもともとやっているデモ参加者に対する盗聴や、メールやSNSへの侵入やハッキングのほうが怖いですね。デモに参加して捕まったときに没収した携帯電話やパソコンのデータを悪用されたり、そっちのほうが香港の監視社会化の例だと思います。