【周庭インタビュー】中国の香港大弾圧はとまらない|聞き手・福島香織

【周庭インタビュー】中国の香港大弾圧はとまらない|聞き手・福島香織

中国の全国人民代表大会(全人代)は5月28日、香港での反中活動を取り締まる国家安全法制の導入を決めて閉幕した。香港では、中国の統制が強化されて「一国二制度」が崩壊しかねないとして懸念の声が広がり、今後抗議活動が激しくなることが予想される。『Hanada』2020年7月号では、”民主化の女神”周庭氏に独占インタビューを行い、新型コロナ感染拡大の中で闘う香港の人々について話を聞いた。聞き手はジャーナリストの福島香織さん。今回はそこから一部を抜粋して掲載。日本から香港にもっとエールを!


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ひたひたと進む香港の監視社会化

――気になるのは、新型コロナウイルス対策として、感染者の監視のやり方です。香港への入境者に対して、QRコード付きリストバンドとGPSで隔離期間中に外に出たらわかるようになっていて、しかも隔離期間中に外に出たら罰金2.5万香港ドルに禁固6カ月と厳しい罰則も科されます。新型コロナ肺炎後の監視社会化につながりそうで、ちょっと怖いんですが。

周庭 あのシステムは抜け穴がいっぱいあります。香港のメディアでも報じられていますが、パスワードの発行が遅れたり、簡単に腕から外れたりして、十分に機能していません。リストバンドをしたまま、普通にスーパーに行ったりレストランに行ったり、隔離施設から逃亡したりする人がたくさんいます。

結局、隔離指示に従うかどうかというのは、その人の意識次第なんですよ。あの政策自体はあまり有効ではないと思います。今回のコロナ対策については、政府はあまり大したことをやっていません。 

それより、香港警察がもともとやっているデモ参加者に対する盗聴や、メールやSNSへの侵入やハッキングのほうが怖いですね。デモに参加して捕まったときに没収した携帯電話やパソコンのデータを悪用されたり、そっちのほうが香港の監視社会化の例だと思います。

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中国は法治国家ではない

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