【周庭インタビュー】中国の香港大弾圧はとまらない|聞き手・福島香織

【周庭インタビュー】中国の香港大弾圧はとまらない|聞き手・福島香織

中国の全国人民代表大会(全人代)は5月28日、香港での反中活動を取り締まる国家安全法制の導入を決めて閉幕した。香港では、中国の統制が強化されて「一国二制度」が崩壊しかねないとして懸念の声が広がり、今後抗議活動が激しくなることが予想される。『Hanada』2020年7月号では、”民主化の女神”周庭氏に独占インタビューを行い、新型コロナ感染拡大の中で闘う香港の人々について話を聞いた。聞き手はジャーナリストの福島香織さん。今回はそこから一部を抜粋して掲載。日本から香港にもっとエールを!


周庭(アグネス・チョウ)
1996年12月3日生まれ。香港衆志(デモシスト)常務委員。香港の大規模民主化デモ「雨傘運動」を中心メンバーとして率いた。SNSなどを通じて香港の現状を訴え、Twitterでは日本語で発信を続けている。2019年11月、北海道大学公共政策大学院のグローカルフェローに就任。

周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes) | Twitter

https://twitter.com/chowtingagnes

The latest Tweets from 周庭 Agnes Chow Ting (@chowtingagnes). 周庭(アグネス・チョウ)、香港衆志(デモシスト)メンバー、大学生。 Chow Ting Agnes, member of Demosisto, University student. Hong Kong

習近平は手を緩めない

(福島香織)
パンデミックの猛威は世界中でまだ続いているが、香港は感染者がゼロの日が続き、新型コロナ肺炎感染予防を理由とした規制が少しずつ緩和し始めている。

香港が新型コロナ肺炎の感染拡大を意外に早く抑えこむことに成功した秘密はどこにあったのか。そして、新型コロナ肺炎の鎮静化に伴い、香港の自由と民主を求めるデモは再び力を盛り返し、秋に予定されている立法会選挙の結果につながっていくのだろうか。

香港の社会運動家で、香港自決派の政党、香港衆志(デモシスト)常務委員の周庭(アグネス・チョウ)さんに、電話でインタビューした。

──いま、香港の新型コロナの状況はどうなっているでしょう?

周庭 全体としては落ち着いてきています。香港政府の話が事実だとすると、日本を含め、ほかの国と比べても、状況はさほど厳しくありません。5月11日まで23日間、新たな域内感染者はゼロでした。

ですが、それは「香港政府の政策がよかったから」という評価にはつながっていません。それよりも香港政府は「防疫」の建前で、緊急の政策やルールを整備したのですが、それを悪用して、昨年から続くデモの支援者たちに圧力をかけているように思います。

たとえば、レストランの営業時はテーブルとテーブルの距離は最低1.5メートル開けるというルールを作りました。4人以上の人が集まると、全部違法集会になるという法律もできました。

香港政府は「防疫」という理由でこういう規則をつくるわけですが、実際はデモシンパのレストランやデモ支持者を集中的に取り締まるため、弾圧に利用されている気がします。

日本の人たちは、新型コロナ肺炎の感染拡大を防ぐために合理的な措置を取っていると思うかもしれませんが、こうしたルール、法の執行のやり方をみると、すごく非合理的で不公平なのです。

3月末から導入された5人以上の集会禁止法も、香港のデモ派の若者たちの取り締まりに悪用されていると思います。

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