中国の尖閣諸島周辺への接続水域入域は今年1月だけで27日間、延べ98隻。領海侵入は2日、延べ8隻に及んでいる。このままの状態が続けば、いずれ尖閣諸島も中国の実効支配下に置かれるのではないかと気を揉む輩も少なくないのではないか。尖閣諸島に米陸軍のマルチドメインタスクフォースが設置されれば、こうした中国の暴挙も少しは止むだろうことは想像に難くない。
米軍が尖閣にマルチドメインタスクフォースを置くことを計画しているのは、何も尖閣という日本の領土を守ろうとしているのではない。あくまでも中国の太平洋への進出を第一列島線内に封じ込めるための米国としての戦略であることは明らかである。もし、この計画が現実のものとなるならば、中国の猛烈な反発も予想され、日本政府が中国の反発に耐えられるのか。
日本政府として、また日本国民として米国のこの新たな要求にどう応えて行くのかが問われる。
1955年、大阪府生まれ。情報安全保障研究所首席研究員。元会津大学特任教授。78年、神戸大学海事科学部卒業。損害保険会社を経て、83年に米国際監査会社プライスウォーターハウス公認会計士共同事務所入所、システム監査部マネジャーとして大手ITメーカーや大手通信キャリアのセキュリティー監査を担当する。以来、複数のシステムコンサルティング会社、セキュリティーコンサルティング会社で現場経験を積む。2016年度より現職。リサーチ活動においては、「自分の目で事実確認」することを信条に、当事者や関係者に直接取材。著書に『情報立国・日本の戦争』(角川新書)。