尖閣諸島に米軍基地設置 早ければ2021年にも|山崎文明

尖閣諸島に米軍基地設置 早ければ2021年にも|山崎文明

「2021年に新たな基地を尖閣に作ることを検討している」――米陸軍長官による驚きの発言!次世代の戦い「マルチドメイン作戦」とは何か。戦略重要拠点としての尖閣、米陸軍長官発言の真意と意味を緊急分析。今、日米同盟は試されている!!


米陸軍長官が明言

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米陸軍長官ライアン・マッカーシーは、1月10日、軍事関連の情報をまとめたジェーン年鑑で有名な出版社HISマーキットの記者アシュリー・ロックのインタビューの中で2021年に新たな基地を尖閣に作ることを検討していると答えた。

新たに設置される軍は、マルチドメインタスクフォース(Multi-Domain Task Force :MDTF)と呼ばれるマルチドメイン作戦を支える軍隊で、その一部の兵士と武器を尖閣諸島に置くことを検討していることを明らかにした。

次世代の戦いマルチドメイン作戦とは何か

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マルチドメインタスクフォースとは、2017年にアメリカ陸軍特殊作戦司令部(USASOC)が発表したマルチドメインバトル(Multi-Domain Battle:MDB)と呼ばれる戦闘概念にもとづいた多領域、つまり、陸、海、空、宇宙、サイバーという全戦闘領域を一つの領域として、作戦遂行をする陸軍に新たに設けられた部隊である。

従来の陸、海、空での物理的な攻撃だけでなく、宇宙や電子戦、サイバー攻撃、情報戦なども組み合わせた作戦で、全領域において優位を保つ能力が求められる次世代の戦いと位置づけられている。陸軍は海外の紛争において海軍や海兵隊の支援を受けて上陸していたが、マルチドメインタスクフォースの設置により、陸軍も地上から海軍、海兵隊への支援を行う事ができるようになるのだ。

2018年12月に制定された我が国の防衛大綱でも「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域については、我が国としての優位性を獲得することが死活的に重要となっており、陸・海・空という従来の区分に依拠した発想から完全に脱却し、すべての領域を横断的に連携させた新たな防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を図っていく必要がある」として、多次元統合防衛力について謳っている。

つまりマルチドメインバトルとは次の戦争での戦い方なのだ。

マルチドメインタスクフォースの一つは日本に配備される可能性が高いとみられる理由として、2018年に行われた日米海上軍事訓練「RIMPAC」が挙げられる。この軍事訓練では、米海軍に加えてマルチドメインタスクフォースが参加している。自衛隊も海上自衛隊のみならず、陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊が参加しており、ミサイルの実射訓練を行なっているのだ。

米陸軍太平洋司令(USARPAC)は、アジア太平洋地域の陸軍を指揮している組織で、ハワイ、アラスカ、グアムおよび日本の国土防衛を主な任務としており、約80,000人の兵士がいる。そのUSARPACが現在、マルチドメインタスクフォース部隊の配置について検討しているというのだ。
マルチドメインタスクフォースは、通常、長距離精密射撃砲、次世代戦闘車両、極超音波ミサイル、精密ストライクミサイル、対空ミサイル防衛システム、将来型垂直離着陸機などを装備するとされるが、それらは一箇所に設置されるのではなく、地域全体に配置される予定であるとしており、はじめに電子戦兵器と長距離精密射撃砲を配備する計画だとしている。

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戦略重要拠点としての尖閣

尖閣諸島は東シナ海の南西部に位置する軍事拠点としての要衝である。現在、尖閣諸島を構成する魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬(とびせ)のうち、久場島と大正島は在沖縄米海軍艦隊活動司令部(COMFLEATOKI)の管理下にあり、射爆撃場として使用されている。

久場島は米軍の使用に供するため民間から政府が借り上げている島で、それ以外の島は全て国有地である。兵士を置くとなるとそれなりの面積が必要で、最も広い魚釣島(3.82平方キロメートル)が候補に上がる。久場島(0.91平方キロメートル)や大正島(0.06平方キロメートル)に置くにしても射爆撃場としての目的以外の利用に供することについて国内の議論がまきおこることは必至で、まして魚釣島となると反対勢力も拱(こまね)いてはいないだろう。

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試される日米同盟

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中国の尖閣諸島周辺への接続水域入域は今年1月だけで27日間、延べ98隻。領海侵入は2日、延べ8隻に及んでいる。このままの状態が続けば、いずれ尖閣諸島も中国の実効支配下に置かれるのではないかと気を揉む輩も少なくないのではないか。尖閣諸島に米陸軍のマルチドメインタスクフォースが設置されれば、こうした中国の暴挙も少しは止むだろうことは想像に難くない。

米軍が尖閣にマルチドメインタスクフォースを置くことを計画しているのは、何も尖閣という日本の領土を守ろうとしているのではない。あくまでも中国の太平洋への進出を第一列島線内に封じ込めるための米国としての戦略であることは明らかである。もし、この計画が現実のものとなるならば、中国の猛烈な反発も予想され、日本政府が中国の反発に耐えられるのか。

日本政府として、また日本国民として米国のこの新たな要求にどう応えて行くのかが問われる。

山崎文明

https://hanada-plus.jp/articles/277

1955年、大阪府生まれ。元会津大学特任教授。78年、神戸大学海事科学部卒業。損害保険会社を経て、83年に米国際監査会社プライスウォーターハウス公認会計士共同事務所入所、システム監査部マネジャーとして大手ITメーカーや大手通信キャリアのセキュリティー監査を担当する。以来、複数のシステムコンサルティング会社、セキュリティーコンサルティング会社で現場経験を積む。2016年度より現職。リサーチ活動においては、「自分の目で事実確認」することを信条に、当事者や関係者に直接取材。著書に『情報立国・日本の戦争』(角川新書)。

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