中国はロシアの「成功例」を見逃さない
ロシアは侵攻前からクリミア領内で親ロ派に有利な情報戦とサイバー攻撃を繰り返し、併合を行い、さらにウクライナでは軍事的手段をも併用して侵攻、紛争を続けている。ロシアは直後にこそ国際社会から経済制裁を受けたが、「力による現状変更」を行ったにもかかわらず、侵攻の代償を払わされているとはいいがたい。
中国がこの「成功例」を見逃すはずがない。
問題は台湾だけにとどまらない。アメリカが対抗するのはもちろんだが、多くの在台邦人を抱える日本政府も、決して台湾での騒擾を対岸の火事として眺めているわけにはいかないのだ。
それだけではない。中国とすれば台湾への「侵攻」を米軍や日本の自衛隊に邪魔されるわけにはいかない。岩田氏はさらに「先島諸島への同時ハイブリッド侵攻」をも警戒すべきだという。
詳しくは『中国、日本侵攻のリアル』をお読みいただきたいが、予測しうる新しい形の脅威が、年明け早々、日本を含む東アジア地域に降りかかる可能性がある。
クリスマスから年末年始に向けて、日本では休養モード一色となる。しかし中国はその間も、虎視眈々と台湾侵攻を目論んでいるのだ。「その時」になって慌てても手遅れになる。自衛隊元最高幹部が警鐘を鳴らす中国の「新しい戦争」シミュレーションで、その脅威の一端を学んでおくべきだろう。