50年、「朝日批判」をやってきたけれど……
――「Hanadaプラス」がオープンします。
花田 雑誌創刊から丸2年。3年目のスタートを切るにあたって開始します。
――まずは月刊『Hanada』のことから。この2年、どうでしたか。
花田 雑誌界でそれなりの存在感を示せているので、ほっとしています。昨年から今年にかけて、6号連続完売を達成。産経新聞にも全15段広告を出していますから。
朝日新聞に訴えられたのも大きかった。売れているということは、やっぱり「朝日はどうもおかしいな」と思っている読者の方、朝日の論調に対してフラストレーションを感じている方が多いということでしょう。
それにしても、朝日新聞がなぜ訴えてきたのか、いまだにわかりません。こちらに間違いがあるのなら、紙面で反論すればいいし、こちらの誌面を提供するということも朝日側には申入書の返事としてお知らせしている。
それでも訴えてきたということは、かなり今回の批判が朝日にとっても「効いた」のではないか。ぼくは文藝春秋社にいた頃から朝日新聞批判を展開してきたけれど、訴えられたのは50年やってきて初めてのこと。朝日新聞の方が何十倍も大きな組織で、発信力も大きいのに訴えてきたわけだから。これは驚きましたね。
「インテリが書いて、ヤクザが売る」の実態
――これまでの朝日批判の中で印象深いものは。
花田 『週刊文春』時代に、いわば朝日の「下半身」とも言える販売面をキャンペーン的に取り上げたのは我ながらいい目の付け所だったと思う。徳間書店の徳間康快社長(故人)が言った「新聞はインテリが書いてやくざが売る」、この実態を追った。
「小堀拡販団」という朝日新聞の拡張を手掛けていた一団があって、朝日新聞の営業部に行ってお金をもらい、地区を決めて朝日の拡張をする。彼らのすごいところは、そうやって、朝日が増えると読売が減るので、今度は読売に行って拡張する。すると朝日が減るので、また朝日の拡張をやるという(笑)。行って来いでやっている。拡張する方はどっちの新聞でもいいんだから。
その話を詳しく聞いて、朝日の販売の側から攻め立てたのは反響もあったし、面白かった。
――抗議は来なかったんですか。
花田 ないねぇ。もちろん他の記事で抗議を受けたことはあったけれど、当然、訴えられるなんてことはなかった。
――同じメディア同士なのに議論がないというのはおかしいですね。
花田 ここがこう違います、と指摘してくれればいい。こちらが根本的な勘違いをしている可能性だってないわけじゃないし、あちらは大きな組織だけれど、ウチの編集部はぼくを入れても編集部員は5人しかいない。気づかないことだってあるからね。
それをやらないというのは、ジャーナリズムとしてはむしろ不自然ですよね。