【読書亡羊】悪用厳禁の書! あなたの怒りは「本物」か  ジュリアーノ・ダ・エンポリ著、林昌弘訳『ポピュリズムの仕掛け人』(白水社)|梶原麻衣子

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


トランプの挑発行為に対して従来のメディアが示す疑念と憤りは、トランプを宣伝する拡声器の役割を果たした。

政治評論家、アメリカ政府の関係者、背広姿の知識人らが、トランプに対する非難をがなり立てなければ、トランプがシステムから排除された人々の怒りの旗手として認められることはなかっただろう。非難の大合唱があったからこそ、全てが容易になったのだ。

民衆から敵視されているメディアからの批判を受けると、その集団の勢いは増し、組織も拡大する。
さらに言えば、不謹慎な振る舞いをすることでメディアが勝手に宣伝してくれる、との見方もある。確かにトランプは自身の自伝(『トランプ自伝』、ちくま文庫)でこう断言している。

マスコミについて私が学んだのは、彼らはいつも記事に飢えており、センセーショナルな話ほど受けるということだ。

要するに人と違ったり、少々出しゃばったり、大胆なことや物議をかもすようなことをすれば、マスコミが取り上げてくれるということだ。

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