【読書亡羊】悪用厳禁の書! あなたの怒りは「本物」か  ジュリアーノ・ダ・エンポリ著、林昌弘訳『ポピュリズムの仕掛け人』(白水社)|梶原麻衣子

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


抗議運動の根底にあったのは、ガソリン税引き上げなどの政府の政策に対するもっともな不満だったが、カリフォルニア産SNSの、怒りを燃え上がらせるアルゴリズムは、当初からちぐはぐな要素を巻き込んでいった。極右及び極左への反乱の呼びかけ、フェイクニュース、陰謀論などが混ぜ合わさったのだ。

日本では仕掛け人の手法もまだまだそこまでシステマチックにはなっていないため、デモの規模も小さい。また欧米人と違って容易には「カーニバル化からの暴動化」が起きないことが救いと言えそうだ。

目的は「権力者を懲らしめる」こと

世界各地で発生しているポピュリズム旋風について、著者のエンポリ氏はこう述べる。

個々の違いはあっても、共通することがある。それは右派であるか左派であるかに関係なく、従来の政治エリートを懲らしめることを政治課題のトップに据えていることだ。これらの運動において政治エリートは、民意を裏切ったと糾弾されている。

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