新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

とるべき財政政策とエネルギー政策を、アメリカの動きを参照しつつ検討する。自民党総裁候補者たちは「世界の潮流」を本当に理解しているのだろうか?


経済の活性化には、安価で安定的なエネルギーの確保が必須である。新政権は、原発の再稼働さらには新増設を遅滞なく進めていかねばならない。日本は、自前で原発を建設、運用、保守できる技術を持っている。この強みをフルに生かさねばならない。

イスラエルとイランを対立軸とする中東紛争がさらに激化し、長期化して石油が途絶する事態になっても(日本は原油の9割以上を中東から輸入している)、原発を活用する態勢がしっかりあれば、エネルギー不足から経済恐慌を招くような事態には至らない。

ところが日本では、エネルギー確保よりメンバーの保身を重視する原子力規制委員会が、法外な権限を与えられ、日本経済の足を引っ張る存在となり続けている。この「原発ハラスメント委員会」を解体的に再編せねばならない。

自民党から共産党に至るまで、脱炭素原理主義の異常

アメリカでは、脱炭素原理主義を掲げる民主党に対し、「エネルギー自立」を最重視する共和党が防波堤の役割を果たしてきた。民主党の「過激な脱炭素法案」は、しばしば共和党が阻止することを見込んだ上で、環境左翼に迎合するために出される見せ掛け法案である。

ところが菅義偉、河野太郎、小泉進次郎といった政治家は、米民主党のパフォーマンスを「世界の潮流」と誤解し、「バスに送れるな」とばかり盛んに追随する愚を犯してきた。道連れにされる国民こそよい迷惑である。しかし日本ではいまだに、自民党から共産党に至るまで、脱炭素原理主義を跪拝し、自傷行為を続ける由々しき状況にある。

使用済み核燃料再処理施設の早期完成、運用開始を公約に掲げよ

「いや、グレタさんを尊崇する河野太郎大臣ですら、反原発を封印した。もう安心」という自民党議員も少なからずいるが、詭弁である。

引き続き一定の影響力を持つであろう河野氏は、多くの野党議員と共に、青森県六ケ所村に建設中の(というより完成が延々と先送りされる)使用済み核燃料再処理施設を閉鎖に追い込む姿勢を変えていない。

再処理施設がなければ、各地の原発の使用済み燃料貯蔵プールは遠からず満杯となり、運転を停止していかざるを得ない。新政権がエネルギー確保を真面目に考えるなら、再処理施設の早期完成、運用開始を、今度こそ先延ばしを許さない公約とし、行程表を示さねばならない。

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