自分が憎い相手のみを非難する
一方、カナダ案に反対した中国・ロシアをはじめとする55カ国は、ヨルダン案に対しては、イラクとチュニジアを除き、すべて賛成に回りました。
このことから何が言えるかと言えば、この55カ国にとっては、休戦よりも、ハマスのテロ行為の責任を明記しないことの方が優先事項なのです。
このような論理的帰結を一切説明することなく、『サンデーモーニング』は、中国・ロシアを含むヨルダン案への賛成国に対して賛意を示すと同時に、日本を含むヨルダン案への棄権国を強く非難したのです。
もちろん、イスラエルのガザに対する過剰な攻撃は、罪のない民間人の人権を蹂躙するものです。イスラエルに対して過剰な攻撃を即刻停止するよう促すことに私も強く賛同します。しかしながら、多くの民間人を殺害して人質を取っているハマスのテロリズムも同時に非難するのが公平です。日本政府と欧州諸国の投票行動はこのような理念に立脚する総合判断に他なりません。
なお、米国はヨルダン案には反対したもののカナダ案には賛成しています。これはカナダ案に反対したもののヨルダン案に賛成した中国・ロシアと同様、休戦よりもハマス非難の有無を優先する考え方です。
『サンデーモーニング』は、米国を非難するのであれば、同時に中国・ロシアも非難しないと理に適いません。憎い相手のみを非難するのは公正な報道とは言えません。
「~のような気がする」という伏線
さて、『サンデーモーニング』では、スタジオトークの前に、司会の関口氏がアジェンダに対する個人的見解を簡単に述べるのが常です。
関口宏氏:この結果は、惨状を見てというより自分の国の都合によってどっち行くかと決めているような気がして、なんか国連の意味がないなと僕は気がしちゃうのですが、皆さんはどうでしょうか?