投票行動には大きな地域差がある
番組はこのヨルダン案の可決をもって「圧倒的な賛成多数」「国際社会としての意思」と報じています。
しかしながら、この投票行動には大きな地域差が存在していることを報じていません。
番組は「フランス・スイス・スペイン・ノルウェーなどの欧州諸国の他、中国・ロシアも含め、121カ国が賛成」と、いかにも欧州の大勢は賛成であるかのように報じていますが、欧州諸国のヨルダン案への実際の投票結果は次の通りです。
賛成:アンドラ・ベラルーシ・ベルギー・ボスニア・ヘルツェゴヴィナ・フランス・アイルランド・リヒテンシュタイン・ルクセンブルク・マルタ・モンテネグロ・ノルウェー・ポルトガル・ロシア・スロヴェニア・スペイン・スイス(17カ国)
棄権:アルバニア・ブルガリア・キプロス・デンマーク・エストニア・フィンランド・ドイツ・ギリシャ・アイスランド・イタリア・ラトヴィア・リトアニア・モナコ・オランダ・北マケドニア・ポーランド・モルドヴァ・ルーマニア・サンマリノ・セルビア・スロヴァキア・スウェーデン・ウクライナ・英国(24カ国)
反対:オーストリア・クロアチア・ツェコ・ハンガリー(4カ国)
欧州は、ヨルダン案に対しては、むしろ棄権と反対の方が多いのです。更に、明快な事実として、カナダ案に対しては、なんとロシアとベラルーシの2国を除くすべての欧州諸国(43カ国)が賛成しているのです。欧州諸国の一致した意見は、休戦とハマスのテロ行為の責任明記の両立でした。
また、欧州諸国がヨルダン案に反対することなく棄権にとどめたことは、ハマスのテロ行為の責任明記よりも休戦を優先したということです。もちろん、欧州諸国と同じようにカナダ案に賛成してヨルダン案を棄権した日本も、ハマスのテロ行為の責任明記よりは休戦を優先していると言えます。