ハマス奇襲攻撃を予言したトランプ、評価が急上昇|石井陽子

ハマス奇襲攻撃を予言したトランプ、評価が急上昇|石井陽子

ハマスによるイスラエル奇襲攻撃を巡って米共和党強硬派の間で大激論が交わされている。そんな中、あの男の発言に注目が集まっている――。


X上でその映像を見た保守派の市民からは「トランプが民間企業出身であることを忘れたのか」とのツッコミや、ハニティがRINO(名ばかりの共和党)やネオコンだとの猛批判が出た。そして、ラマスワミはヘイリーを批判しながらこう投稿した。

「何年も、 ショーン・ハニティは『フェイクニュース』を非難してきたが、フェイクニュースになっちゃったんだな。(中略)このインタビューのスポンサーはニッキー・ヘイリーだ [爆笑する絵文字]」

「あなたの話を聞く度に、少し頭が悪くなる気がする」―討論会で大激論

さて、ヘイリーとラマスワミだが、実はこの2名は8月に行われた共和党の第1回候補者討論会で、大激論をしている。例えば、動画共有アプリ「TikTok」は親会社と中国政府との関係を懸念され、米政府機関のデバイスでの使用が禁止されているにもかかわらず、実はラマスワミはTikTokを使用している。その理由について司会者から質問されたラマスワミは、選挙に勝つためには次世代の若いアメリカ人に接触すべきだからだと答えた。

それを聞いたヘイリーは、「あなたの話を聞く度に、少し頭が悪くなる気がする」と怒りを抑える表情で割り込んだ。「私たち全員にとって危険なこのSNSに、子供たちが参加することを望んでいるのですか?」「1億5000万人がTikTokを利用している。つまり、彼らはあなたの連絡先を知ることができ、あなたの金融情報を知ることができ、あなたの電子メールを知ることができ、あなたのテキストメッセージを知ることができる。中国は、何をしているかを正確に知っている」と声を荒げ、「私たちはあなたを信用できない!」とヘイリーは大声で繰り返した。

ヘイリーがトランプ政権下で実務を積み、国際情勢も熟知したベテランである一方、ラマスワミが若者を取り込む戦略を持つミレニアル世代のアウトサイダーであり外交の素人であるという背景の違いが如実に表れた。同討論会では、トランプ政権で副大統領を務めたマイク・ペンス候補も、ラマスワミを「新人」と呼び、「OJT(体験学習、実地訓練)の時間ではない」と批判した。

また、ロシアのウクライナ侵攻についても、ウクライナ支援を継続しないという意思表示を当時壇上で行なった唯一の候補者であるラマスワミが「プーチンは邪悪な独裁者だが、だからと言ってウクライナが良いというわけではない」と発言した折、ヘイリーは即座に「ロシアの勝利は、中国の勝利だ」と呆れた表情で割り込み、繰り返した。発言の順番を待てと言うラマスワミに更に割り込み、「あなたが中国を好きだったのを忘れていたわ」と捨て台詞を吐いた彼女は、「彼(ラマスワミ)はウクライナをロシアに渡そうとし、中国に台湾を食べさせようとし、イスラエルへの資金援助を止めようとしている」「友達にそんなことはしない。代わりにすることは、友達の背中を押すことだ」と力強く述べた。

ヘイリーはまた、ラマスワミが政界入りする程影響を受けた「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大にする)を文字って、You will「Make America Less Safe」(あなたはアメリカの安全を脅かす)と壇上で彼の目を見て断言した。

ハマス奇襲攻撃以降、高まるトランプの存在感

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