ハマス奇襲攻撃を予言したトランプ、評価が急上昇|石井陽子

ハマス奇襲攻撃を予言したトランプ、評価が急上昇|石井陽子

ハマスによるイスラエル奇襲攻撃を巡って米共和党強硬派の間で大激論が交わされている。そんな中、あの男の発言に注目が集まっている――。


首謀者は中国

共和党の中でも政策が分かれているが、例えばヘイリーはネオコン的だとよく批判対象となるものの、日本の保守から見れば、心強いのが実情だ。彼女は10月17日に「目を覚ませ、アメリカ: 我々の敵は、世界中で我々の弱みにつけ込む邪悪な同盟だ」と題した記事を『ニューヨーク・ポスト』で発表している。

その中で彼女は現在の国際情勢について、「ハマスがイランの言いなりになっているのと同じように、イランは共産中国とプーチンのロシアのジュニアパートナーである」と位置付けている。中国が首謀者ではあるが、アメリカは中国、ロシア、イランという3つの頭を持つ邪悪な怪物と戦っており、その3つの政権は全て同じチームであることや、それらがアメリカの友好国や同盟国を脅かす理由はアメリカへの憎悪を声高に宣言して最終的にアメリカを崩壊させるという同じ目標を共有していることであることなどを指摘している。

イスラエル攻撃もウクライナ侵攻もそのアジェンダの一部であり、その三カ国はアメリカの決意を試すために、あらゆる手段を講じているとの位置付けだ。

そこで、アメリカは台湾、日本、韓国、オーストラリア、そして太平洋のすべての友好国と同盟国を、中国から守ることができるが、「強いアメリカがいなければ、世界は混沌に陥り、私たちの自由が危険にさらされる」と訴えている。

中国との覇権争いの意識も強く、自発的に同盟国・友好国を重視している点を打ち出すところが他候補には見られない特徴だ。国際舞台で実績を積んできた威厳と重みが感じられる。

一方で、ディサンティスやラマスワミは国内問題で支援を獲得する傾向にあり、国益次第では同盟国・友好国を切り捨てることにも含みを持たせている印象さえ抱く。

日本にとっての理想像とは

日本にとってより望ましいアメリカのパートナーとはどのようなものだろうか。ラマスワミは(メキシコとの南部の)国境問題を常に強調している。「国境、国境」と繰り返している印象だ。アメリカファーストである。ロシア・ウクライナ戦争では、ロシアへの「勝利」ではなく、ロシアを中国から引き離す戦略を提唱している。

一方ヘイリーは、中国、ロシア、イランとの対決を重視している。アメリカの覇権を脅かす敵への断固たる姿勢に揺るぎがない。伝統的な保守派そのものと言っていいだろう。いわゆる「保守派」といってもかくも違うのだ。明日のアメリカの政治がどう転んでも、受け止められる状態を日本は作っておかなければならない。同時に、白熱する米国内の大激論を見習い、我が国の中でもしっかり議論していきたいものだ。

石井陽子

https://hanada-plus.jp/articles/1387

1985年福岡県生まれ。フリーチベット福岡代表。ランダムヨーコとして知られている。関西外国語大学英米語学科卒業。政治と歴史に関するYouTubeチャンネル「randomyoko2」の登録者数は5万人を超え、800万回以上視聴されている。著書に『新・愛国論』(桜の花出版)。英語での論文がジャパン・フォワードに掲載されている他、Foxニュース、CNN、BBC、CBS、ラジオ・フリー・アジア、サウスチャイナ・モーニングポスト、ブライトバート、チベットテレビなどの多数の英語メディアにおいて、日本人コメンテーターとして発言が紹介されている。夫は石井英俊(自由インド太平洋連盟 副会長)。

関連する投稿


新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

とるべき財政政策とエネルギー政策を、アメリカの動きを参照しつつ検討する。自民党総裁候補者たちは「世界の潮流」を本当に理解しているのだろうか?


トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

「交渉のプロ」トランプの政治を“専門家”もメディアも全く理解できていない。トランプの「株価暴落」「カマラ・クラッシュ」予言が的中!狂人を装うトランプの真意とは? そして、カマラ・ハリスの本当の恐ろしさを誰も伝えていない。


慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃(東京開催)|松木國俊

慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃(東京開催)|松木國俊

日米韓の慰安婦問題研究者が東京に大集合。日本国の名誉と共に東アジアの安全保障にかかわる極めて重大なテーマ、慰安婦問題の完全解決に至る道筋を多角的に明らかにする!シンポジウムの模様を登壇者の一人である松木國俊氏が完全レポート、一挙大公開。これを読めば慰安婦の真実が全て分かる!


「核爆弾の奴隷たち」北朝鮮驚愕の核兵器開発現場|石井英俊

「核爆弾の奴隷たち」北朝鮮驚愕の核兵器開発現場|石井英俊

「核爆弾の奴隷たち」――アメリカに本部を置く北朝鮮人権委員会が発表した報告書に記された衝撃的な内容。アメリカや韓国では話題になっているが、日本ではなぜか全く知られていない。核開発を進める独裁国家で実施されている「現代の奴隷制度」の実態。


たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

昭恵夫人が「号泣しました。生涯最高の一冊です」と大絶賛。全国から感動、感涙の声が続々。安倍晋三総理の67年の生涯を描いた『マンガ安倍晋三物語』の制作秘話を未公開イラストと共に初公開!


最新の投稿


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心  キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心 キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】改めて、五年前のコロナ報道はひどすぎた|藤原かずえ

【今週のサンモニ】改めて、五年前のコロナ報道はひどすぎた|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】兵庫県知事選はメディア環境の大きな転換点か|藤原かずえ

【今週のサンモニ】兵庫県知事選はメディア環境の大きな転換点か|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


なべやかん遺産|「ゴジラフェス」

なべやかん遺産|「ゴジラフェス」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ゴジラフェス」!