《夕方、コンビニ前の駐車場でゴミを散らかす男の子たちがいた。注意しようとすると逃げていった》
(撮影:筆者)
こうした印象は、僕だけが抱いたのではなかった。しかも躾をされていないゆえの傍若無人さを見せているようだ。地元住民たちは言う。
「子どもたちは学校にも行かずに午前中からウロウロしている」
「何人もの子どもが自転車で信号無視したり、蛇行運転したりしています」
「歩いていたら、後ろから自転車で激突されました。思わず『痛い』って叫んだらびっくりしたのか蜘蛛の子を散らすように逃げていきました」
「お祭りなどでクルド人の子どもは並ぶことを知りません。子どもが力ずくでお菓子を奪っていくので注意するんですが無視されました」
「子どもが歩きタバコしている姿を見ると本当にどう成長するのか不安でしかない」
日本の義務教育はもちろん、祖国ですらまともに教育を受けていないならば、ルールを守るということの大切さを理解することは困難なのではないか。読み書きが不自由ならば、教習所に通って運転免許を取得すること自体、難しいだろう。
《外廊下で遊んでいる女の子たち。落下しないか心配になった》
(撮影:筆者)
教育は必要ないと考える親たち
川口市議会議員である奥富精一氏は2世たちの教育について次のように述べた。
「クルド人など外国人に授業を教えている現場の教職員から聞いたのですが、そもそも小学校のカリキュラムに問題があるそうです。たとえば小学校4年生の年齢の子どもが転入して来ると、学力関係なくいきなり小学校4年生のカリキュラムを教えるので、ついて行くのが大変なんです」
クルド人の子どもたちは他の外国人に比べて学力がかなり低い傾向にあるという。
「読み書き加減乗除(四則計算)できない状態で転入してくるのが普通です。それまでの生育でしっかり教育を受けてこなかったし、日本にやって来ても、読み書きに熱心に取り組まない。それは他の国の子どもよりもその傾向は顕著です。ずっと日本で暮らしているので、日本語はみなさん理解しています。特に若い世代はわかっている。だけど、読み書き加減乗除はできないままなんですよ」
クルドの子どもたちが学ばない一因は、親が教育に関心がないからだ。たぶん、その親も教育をまともに受けてこなかったのだろう。
「教育なんか必要ないと思っている親が多いんです。だからこそ、男の子は中学生にあがる年齢から働かせるのが普通です。一方、女の子は勉強を続け、中学校までは行っています。現状では、中学に通っているのはほとんど女の子だけというのが実情です」
高校に進学するのは少数派なのだろう。僕が街中で話を聞いたクルドの若い女性も中学校しか出ていなかった。
「日本に来たのは9歳のとき。(トルコ東部にあるクルド人が多い)ガジアンテプから来たクルド人です。学校は中学校でおしまい」
彼女は学歴が中学で終わってしまったことをとても残念そうに話した。本人はもっと勉強し、日本人の同級生たちと一緒に進学したかったのかもしれない。