トランプ大統領のビジネス交渉術
2025年11月2日の『サンデーモーニング』は、高市外交をトップニュースで報じました。早くも「サナガー」番組と化している『サンデーモーニング』にしては、お手柔らかな内容でした(笑)。
始まった高市外交 「一気に親しい友人に」親密さアピールの陰で…日米間に2つの懸案事項「防衛費増額と対米投資」 認識の違いも【サンデーモーニング】 | TBS NEWS DIG
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/226431027日、アメリカのトランプ大統領が6年ぶりに日本を訪れました。両首脳が蜜月ぶりをアピールした陰で、日本側はどんな要求を突きつけられたのでしょうか。31日、APECにあわせ、約1年ぶりに実現した日中首脳会談。お…
アナウンサー:27日、アメリカのトランプ大統領が6年ぶりに日本を訪れました。両首脳が蜜月ぶりをアピールした陰で、日本側はどんな要求を突きつけられたのでしょうか。(中略)
お互い、懸念を伝え合う会談となりましたが、その3日前には、満面の笑みでアメリカのトランプ大統領を迎える高市氏。移動中には、寄り添って腕を組みます。
高市早苗総理大臣(VTR):世界の平和と安定へのトランプ大統領の揺るぎないコミットを高く評価します
アナウンサー:親密さをアピールする日米両国ですが、懸案も。その一つが、これまでトランプ政権が同盟国に繰り返し要求してきた防衛費の増額。今回、高市氏は今年度中に防衛費を対GDP比2%に増額する方針などを伝えたとみられます。一方で、アメリカ側は...
ヘグセス米国防長官(VTR):日本に何かを要求したということは一切ありません。
アナウンサー:ただ今後、アメリカはさらなる防衛費の増額を要求する可能性はあるといいます。さらに、もう1つの懸念がアメリカへの“巨額の投資”です。
7月、日本への相互関税と自動車関税を15%とすることで合意した日米。トランプ氏は日本が、その引き換えに80兆円もの投資を行うとし、利益の90%をアメリカが受け取ると主張していました。(中略)
日本政府は投資の中身について、80兆円のうちエネルギーやAIインフラの強化など、総額60兆円規模のプロジェクトを公表しています。
一方で、両国に認識の違いも垣間見えます。署名式で、決定事項のように金額を読み上げながら紹介するアメリカ側に対し、日本側の資料では、「関与を検討」と記される案件も多くあります。
防衛、そして経済、今後アメリカは同盟国日本にどんな要求を突きつけてくるのでしょうか。
トランプ氏の一貫性の欠如からすれば『サンデーモーニング』が二つの懸念を指摘するのは無理もないことです。ただし、その懸念の確度が高いかといえば、必ずしもそうとも言い切れません。
TACO(Trump Always Chickens Out)という言葉があるように、トランプ氏は相手と強く敵対しないよう、いつも(always)非常識な要求を最後の最後に引っ込めてディールを完成させるからです。
これは、現実的でない高い要求を最初に突き付けておいて、実際には現実的な譲歩を得る【ハイボールテクニックhigh ball technique】と呼ばれるビジネス交渉術に他なりません。

