【埼玉県川口市 クルドの現場を行く③】学校に行かない子どもたち|西牟田靖

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在日クルド人は日本語力・学力が乏しい。それは1世はもちろん、幼少期から日本で育った2世であってもその傾向がある。「ワラビスタン」で繰り返され、住民が辟易している迷惑・犯罪行為の原因はそこにあるのではないか。今回は在日クルド人2世と教育について考えてみる。


部族社会と日本社会の狭間で

最後に、地元のクルド人社会に詳しい方のツイートを2つ紹介してみたい。

この2つがどこまで信憑性があるのかはわからない。

しかし2つに共通しているのは、働くのは男、女性には厳しく行動制限を加え家事と子守を強要するという部族社会がここ日本でも行われているということだ。日本で育った2世たちは、自分たちの仮放免という厳しい処遇や学歴のなさに加え、部族社会と日本社会の狹間でもがき苦しんでいるということは容易に想像がつく。

入管法改悪反対を叫ぶ左派の人たちや、クルドの子どもたちは「日本語しか話せず、日本でしか暮らせない」と主張する。もし彼ら2世の子どもたちが在留許可を得られてもなお、彼らが日本国内で将来を切り開くのは難しいだろう。

学力の低さ、学歴のなさからまともな仕事に就くことが難しいと容易に想像がつくからだ。将来を切り開けないなかで自暴自棄になり、男の子が暴走行為などの非行に走り、女の子は家庭内規範に苦しみ時には自傷行為に走るのだとしても確かに不思議ではない。

小さいときに日本に連れてこられたり、日本で生まれたりするも、親たちは別の言語が母語、しかも学のある人は少数――という環境で2世たちは育ってきた。2つの言葉の間に翻弄され、考えの基礎となる母語をしっかり身につける機会がないまま……。

これは大変不幸なことである。最大の責任は無計画に日本に居着いた親たちにある。その一方で2世たちには何の落ち度もない。日本政府は、彼ら2世たちが人生を歩んでいけるように、言葉の面を中心に、しっかりサポートしていくべきではないか。

ひいてはそれが迷惑・犯罪行為の抑止の特効薬となるはずだ。

(つづく)

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