国会史上初の答弁! 南京事件「省内に根拠となる文書は存在しない」と林外相|和田政宗

国会史上初の答弁! 南京事件「省内に根拠となる文書は存在しない」と林外相|和田政宗

「日本政府としては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害があったことは否定できないと考えている」。この見解の根拠について質問したところ、国会史上初の答弁が出た――。


村山談話の一部の記述も根拠なく記された

私は、現在明らかになっている政府保有の文書をもとに、政府見解や外務省ホームページの記述を訂正すべきであると考える。もし、非戦闘員や住民の殺害について明確に記している文書が明らかになれば、その通り記述することになると思うが、現在そうした文書は存在しない。

では、どのように記述するのか。

『戦史叢書 支那事変陸軍作戦』の記述について、参考文献である様々な資料を私は調べたが、戦闘において住民を巻き込み死なせてしまったことは記述があり、事実であると認識している。私は、このように政府の公式文書に記されている内容に修正すべきであると考える。

外務省のホームページの記述、「非戦闘員の殺害があったことは否定できない」は、中国によって「日本政府は、日本軍が意図的に一般住民を殺害し虐殺したとする説を肯定した」との根拠にされている。「非戦闘員の殺害」ではなく、「巻き込んで死亡させた」と、政府の文書に根拠をもって記されてきた内容とすべきではないか。

過去、私は平成27年の国会質疑や質問主意書において、村山談話における「植民地支配」「侵略」の定義について政府に質問した。これに対する政府答弁は「植民地支配及び侵略の定義については様々な議論があり、お尋ねについてお答えすることは困難である」と、植民地支配や侵略は定義できず、日本が行ったかどうかについても答えられないというものであった。

すなわち、村山談話における「植民地支配」「侵略」の記述は、根拠なく記されたということが明らかになった。

「定義できないなら削除すべき」

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これを受け、当時の外務省ホームページ「歴史問題Q&A」における「問1 先の大戦に対して、日本政府はどのような歴史認識を持っていますか」と「問6 『南京大虐殺』に対して、日本政府はどのように考えていますか」に対する回答で、「植民地支配と侵略」という文言を使用していることについて、私は「定義できないなら削除すべき」であると政府に質問主意書で平成27年4月に問うた。

これに対する政府答弁書は「削除する考えはない」とのものであったが、その後、8月の戦後70年安倍内閣総理大臣談話を受け、外務省ホームページの「歴史問題Q&A」から、「侵略」「植民地支配」の文言が削除され、「南京大虐殺」も「南京事件」との記述に変わった。

このように、過去においては、政府が保有する文書を根拠に、言えるもの言えないものを明確にし、記述を訂正した事例があるのである。南京戦は、中国により「大虐殺があった」との宣伝に使われている。日本政府はあいまいな論拠をもとに、政府見解を作成するのではなく、明確に根拠を持った内容をもとに見解や記述を作成するべきだ。

そうでなければ、史実と違っても「日本政府も認めており事実」との誤った認識が広がってしまう。これを訂正することは、先人たちの名誉やこれからの時代を生きる子供たちのためにも重要なことである。私は根拠を持った公式見解とするよう政府に求め続けるとともに、しっかりとした歴史的事実を国内外に広めていきたい。

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