SNSの発信や動きも綿密に分析
安倍総理は国民の目に自身や政策がどう映っているかも常に確認をなされる方であった。
この衆院選時には、安倍総理が出演されるテレビ番組や政見放送の収録には全て同行したが、出演のためのメイクをしている時間などで、世論の動向や国民の生の声がどうなっているかを安倍総理から聞かれたり、分析をこちらから打ち込んだりした。
この衆院選においては党内にチームを作り、全てのニュースとワイドショーがどのように伝えているかを網羅的に分析し、SNSの発信や動きも綿密に分析した。そうした中、希望の党の政見放送内の地図から北方領土が抜けていることを発見したり、失速した希望の党に対し、発信を戦略的に行った立憲民主党が終盤で伸びるという予測、それにどう対応するかの戦略を練った。
こうしたことで、正確に世論の動向をつかむことができ、この年の衆院選は、自民党が絶対安定多数を大きく上回る284議席の勝利を果たすことができた。『回顧録』には安倍総理がどういう考えで平成29(2017)年の衆院選に臨まれたかが記されているが、その考えをもとに具体的に行われた選挙広報戦略は上記の通りであった。
安倍総理の政策が国民に支持されたのも、総理自らが帰宅なさった後にしていた、様々なSNSを見ることをはじめ、常に国民の生の声がどうかを意識し、国民に届くよう効果的な発信をしてきたことにある。
これら発信における選挙以外のことについては、折を見て、安倍総理が『回顧録』の中でも述べている、外交と各国首脳とのエピソード、経済とアベノミクスについて安倍元総理が特に重視して私にもお話になったことなどと絡め、記せるものを記していきたいと思う。
安倍総理が何を目指し何を実現したか、そしてこれから何を実現しようとしていたかを皆様と共有していきたい。