「白紙の乱」で犯した習近平の致命的失態|石平

「白紙の乱」で犯した習近平の致命的失態|石平

「白紙の乱」を巡って習近平はある致命的な失態を犯した。中国の「繁栄と安定」の時代が終焉し、国全体は「動乱の時代」を迎える。 習近平政権は崩壊の危機から逃れるためには対外戦争に打って出る以外にないだろう。台湾有事が予定よりも早まる危険性がある。


民衆運動は、一旦火がついた以上、完全に終息することはあまりない。民衆運動の力を前にして習政権のゼロコロナ政策は部分的に緩和されているが、政策自体を放棄したわけではない。緩和政策のなかでコロナ感染が予想以上に広がるようなことになれば、政権は元通りの厳しい封じ込め政策を再び強行するだろう。  

そうなれば、コロナ政策をめぐる民衆と政権との対立と攻防が再燃してくる。  

しかも今後、経済の沈没が止まらず、習政権が存続する限り「反習近平」の気運はますます高まっていくに違いない。民衆運動はこれからも、様々な形で展開していくだろう。  

運動の今後の方向性の一つは、一部の知識人や大学生たちが中心となって、習近平政権の打倒、自由・民主の獲得という政治的目標の達成に向かって、政治運動・政治革命として広がっていくことが考えられる。  

その際、運動は激しい反乱というよりも温和な形の「白紙の乱」、「白紙革命」として持続的に展開していくのではないか。  

何も書かれていない文字どおりの白紙を静かに掲げた行為に対し、当局は取り締まりにくいし、それを公然と鎮圧するのも難しい。

「白色」が運動のシンボルになる可能性もあり、人々はあらゆる場面で白色の服装や記章を着用し、白色の道具の使用など、様々な手法で自らの思いと意思を表現し、運動を持続的に展開させていくこともできる。

中国は対外戦争に打って出る

それが徐々に広がっていくと、国民の多くは絶望感・閉塞感のなかで「色で意思を表示する」という静かな「白紙革命」に参加することは十分にあり得る。そして経済危機の爆発をきっかけに、より大規模かつ広範囲な革命運動が本格的に起きる可能性もある。

今回の「白紙の乱」を契機に中国の「繁栄と安定」の時代が終焉し、国全体は「動乱の時代」を迎える。  

こうしたなかで、習近平政権は崩壊の危機から逃れるためには対外戦争に打って出る以外にないだろう。台湾有事が予定よりも早まる危険性がある。日本には早急に備えが求められている。

石平

https://hanada-plus.jp/articles/1197

評論家。1962年、四川省生まれ。北京大学哲学部を卒業後、四川大学哲学部講師を経て、88年に来日。95年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。2002年『なぜ中国人は日本人を憎むのか』(PHP研究所)刊行以来、日中・中国問題を中心とした評論活動に入る。07年に日本国籍を取得。08年拓殖大学客員教授に就任。14年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。著書に『中国共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)など多数。

月刊『Hanada』23年2月号

¥ 980

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