大物の横にはショーケースが二つ置かれていた。最初のケースには、バットカウルと手袋が置かれた。バットカウルは『バットマン リターンズ』(1992)ティム・バートン監督による二作目のバットマンだ。
バットマン役はマイケル・キートン氏が続投。展示品は撮影用プロップのバットカウルでフォームラバー製。その為、経年劣化がかなり激しい。ティム・バートン監督が所有しているバットカウルも経年劣化が進んでいる。これがフォームラバーの宿命だから仕方がない。
バットカウル造形はホセ・フェルナンデス氏。ホセ氏の粘土彫刻は神レベル。だからこのバットカウルも美しいフォルムをしている。
ちなみにバットカウルが被せられている肩から上のマネキンも劇中で使われていた物と同じなので、ある意味正しいバットカウルの置き方である。こういった事も拘りの一つだ。
手袋は『バットマン リターンズ』(1992)で使用された手袋だ。手袋はバイク用を流用していると思われる。日本の等身大特撮ヒーローも同様でバイク用が使用される事が多い。ちなみにウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンAなどもバイク用手袋を使っている。
隣のケースには『バットマン フォーエヴァー』(1995)でリドラーを演じたジム・キャリー氏のライフマスクとリドラーのアイマスクが置かれている。撮影時は特殊メイクの要領で顔にアイマスクを張り付ける。そのため撮影時には大量のアイマスクが作られていたが、全て使い捨てだった。(勿体ない)
ライフマスクの前にはゴッサムシティのコインが並べられた。コインは『バットマン フォーエヴァー』(1995)でトミー・リー・ジョーンズ氏が演じたトゥーフェイスがコイントスをする時に使用した物で片面が傷だらけになっているのが特徴。大きいコインはアップ用に作られた物。
それとは別に『ダークナイト』(2008)でアーロン・エッカート氏が演じたトゥーフェイスがコイントスをする時に使用したコインもある。どちらの作品のコインも似ているが、良く見ると全くの別物。
コインの隣はゴッサムシティの紙幣。ティム・バートン監督作品で使用された紙幣は劇中でジョーカーが街中でばら撒いたり、色んなシーンで使われている。
ジム・キャリー氏のライフマスクの横はテレビドラマとして制作された『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ』(1991)の胸のマークである。このマークは、当時撮影でザ・フラッシュのアクションをやっていた方から譲られた物だ。ロスに行った時、食事をした事がある。
今回展示したプロップはDC作品でどれも印象的なものだ。そして映像では良くわからなかった部分もあったので、こういった機会に見ていただくというのはとても良かったと思う。撮影用プロップにはフィギュアと違い説得力があるので、多くの人に撮影用プロップの魅力が伝わればと思った。
そして、その後に映像作品を観直してもらえると楽しみが倍増するかもしれない。
今回はこういった機会に巡り合えた事にとても感謝している。機会を与えてくれた杉山すぴ豊さん、日テレイベンツさん、ワーナーさん、ありがとうございました。
昭和45年8月22日生まれ。たけし軍団初の2世タレントとして、91年デビュー。趣味の特撮キャラ収集では、30年以上前から専門誌やイベントで資料提供している。主催のお笑いライブは、個人主催では最長記録である。