安倍元首相の死を、「国内騒擾」に使われないために今できること ジョン・ウィッティントン著、定木大介訳『暗殺から読む世界史』(東京堂出版)

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!(今回はちょっと遅刻しました)


「戦いの場」で倒れた安倍元総理

本書の目次を見ながら、「次にこうした本が出る時には、安倍さんも名を連ねるのか……」と思うと、とてつもない、途方もない気分に襲われる。こんな形で「歴史」に名を連ねるなんて、多くの国民も、もちろんご本人も望んではいなかった。

しかし一方で「政治家は畳の上では死ねない」と言われてきたのも事実だ。

妻の昭恵さんは「選挙の時の主人はすごい。猛烈な勢いで、移動中の車内で200件も300件も『安倍晋三です、誰々さんに一票、お願いします』と電話をかけまくる」と仰っていた。選挙は戦いでもある。安倍元首相はそんな戦いのさなかに、凶弾に倒れたことになる。

こうした「要人暗殺」の視点でとらえる一方で、もう一つ大事なことがある。安倍元首相は要人であるのはもちろんだが、その前に一人の日本人でもあった。その命が奪われたことを、まずは重く受け止めたい。

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梶原麻衣子 | Hanadaプラス

https://hanada-plus.jp/articles/712/

ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

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