「戦いの場」で倒れた安倍元総理
本書の目次を見ながら、「次にこうした本が出る時には、安倍さんも名を連ねるのか……」と思うと、とてつもない、途方もない気分に襲われる。こんな形で「歴史」に名を連ねるなんて、多くの国民も、もちろんご本人も望んではいなかった。
しかし一方で「政治家は畳の上では死ねない」と言われてきたのも事実だ。
妻の昭恵さんは「選挙の時の主人はすごい。猛烈な勢いで、移動中の車内で200件も300件も『安倍晋三です、誰々さんに一票、お願いします』と電話をかけまくる」と仰っていた。選挙は戦いでもある。安倍元首相はそんな戦いのさなかに、凶弾に倒れたことになる。
こうした「要人暗殺」の視点でとらえる一方で、もう一つ大事なことがある。安倍元首相は要人であるのはもちろんだが、その前に一人の日本人でもあった。その命が奪われたことを、まずは重く受け止めたい。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。