「軍事の一帯一路」と化す危険性
アメリカの国防総省は一帯一路を巡って2020年にまとめた『中国の軍事動向に関する年次報告書』で、重大な警告を発している。
これによると、タイ、ミャンマー、パキスタン、シンガポール、インドネシア、スリランカ、ケニアといった一帯一路の参加国は、中国が海外軍事拠点として自国勢力圏に組み込もうと画策していると明示的に警告している。
これら国々はほとんどすべてが一帯一路構想に沿う形で点在していて、「経済の一帯一路」が「軍事の一帯一路」と化す危険性を帯びているというのである。
日本も一帯一路の危険性についてはアメリカ政府と問題意識を共有しており、2019年3月の参院予算審議で当時の安倍晋三首相は一帯一路構想について、日本が協力するには、
・プロジェクトの開放性、
・透明性、
・経済性、
・財政健全性、
の4条件を満たす必要があるとの認識を示している。
同じ頃、麻生太郎副総理兼財務大臣は、「サラ金の多重債務と同じだ」と、中国の一帯一路の金融支援の現状をはっきりと批判した。
ある国が一帯一路に参加するかどうかは、その国の行政・立法機関で侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論が行われて、慎重な検討の末に参加の可否が決定されるべきものである。
そして参加するのであればその形態、中国による侵略の意図の継続的検証など、国民の生命と財産を守る安全保障の観点からの自衛策は不可欠となる。
「橋下徹スキーム」がすべてのはじまり
様々な問題点が指摘されている一帯一路に日本が参画するか、するとすればどのような形がふさわしいのか。これはオープンな国民的議論の末に決定されるべき国策であり、地方自治体の一首長の一存で決めていいわけがない。
ところが2014年、橋下徹大阪市長は市民に何の説明もないまま独断で上海電力を咲洲メガソーラーの事業者としてステルス参入させた。
そして大阪市が入り口となって、上海電力は兵庫県三田市、茨城県つくば市、栃木県那須烏山、山口県岩国、静岡県牧之原と、次々と事業を拡大し、日本中に「一帯一路」という名の侵略を続けている。
橋下徹氏が上海電力に売り飛ばしたのは大阪市の咲洲メガソーラーだけではない。
一切の国民的議論もなく、あるいは発電インフラの保全策もなく、日本国全体を中国の危険な一帯一路に独断で巻き込んだのが、大阪市長時代の橋下徹氏なのである。
上海電力日本社長の刁旭は、日本のメガソーラー事業を巡ってこんな色紙を揮毫している。
「友好赤船」