【橋下徹研究⑤】独断で日本を一帯一路に引きずり込んだ橋下徹|山口敬之【永田町インサイド WEB第5回】

【橋下徹研究⑤】独断で日本を一帯一路に引きずり込んだ橋下徹|山口敬之【永田町インサイド WEB第5回】

「中国の電力産業が、西側先進国に作った初めての発電所であり、一番最初に利益を生み出したプロジェクトも大阪です」「我々が黒船ではなく、紅船であることを示しています」と上海電力日本株式会社の刁旭(ちょう・きょく)社長。上海電力を咲洲メガソーラーにステルス参入させた「橋下徹スキーム」が、日本進出を狙う上海電力にとってどれだけ大きな恩恵をもたらしたのか。


「軍事の一帯一路」と化す危険性

アメリカの国防総省は一帯一路を巡って2020年にまとめた『中国の軍事動向に関する年次報告書』で、重大な警告を発している。

これによると、タイ、ミャンマー、パキスタン、シンガポール、インドネシア、スリランカ、ケニアといった一帯一路の参加国は、中国が海外軍事拠点として自国勢力圏に組み込もうと画策していると明示的に警告している。

これら国々はほとんどすべてが一帯一路構想に沿う形で点在していて、「経済の一帯一路」が「軍事の一帯一路」と化す危険性を帯びているというのである。

日本も一帯一路の危険性についてはアメリカ政府と問題意識を共有しており、2019年3月の参院予算審議で当時の安倍晋三首相は一帯一路構想について、日本が協力するには、
・プロジェクトの開放性、
・透明性、
・経済性、
・財政健全性、
の4条件を満たす必要があるとの認識を示している。

同じ頃、麻生太郎副総理兼財務大臣は、「サラ金の多重債務と同じだ」と、中国の一帯一路の金融支援の現状をはっきりと批判した。

ある国が一帯一路に参加するかどうかは、その国の行政・立法機関で侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論が行われて、慎重な検討の末に参加の可否が決定されるべきものである。

そして参加するのであればその形態、中国による侵略の意図の継続的検証など、国民の生命と財産を守る安全保障の観点からの自衛策は不可欠となる。

「橋下徹スキーム」がすべてのはじまり

様々な問題点が指摘されている一帯一路に日本が参画するか、するとすればどのような形がふさわしいのか。これはオープンな国民的議論の末に決定されるべき国策であり、地方自治体の一首長の一存で決めていいわけがない。

ところが2014年、橋下徹大阪市長は市民に何の説明もないまま独断で上海電力を咲洲メガソーラーの事業者としてステルス参入させた。

そして大阪市が入り口となって、上海電力は兵庫県三田市、茨城県つくば市、栃木県那須烏山、山口県岩国、静岡県牧之原と、次々と事業を拡大し、日本中に「一帯一路」という名の侵略を続けている。
 
橋下徹氏が上海電力に売り飛ばしたのは大阪市の咲洲メガソーラーだけではない。

一切の国民的議論もなく、あるいは発電インフラの保全策もなく、日本国全体を中国の危険な一帯一路に独断で巻き込んだのが、大阪市長時代の橋下徹氏なのである。

上海電力日本社長の刁旭は、日本のメガソーラー事業を巡ってこんな色紙を揮毫している。

 

「友好赤船」

関連する投稿


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


改正入管法で、不法滞在者を大幅に減らす!|和田政宗

改正入管法で、不法滞在者を大幅に減らす!|和田政宗

参院法務委員会筆頭理事として、改正入管法の早期施行を法務省に働きかけてきた。しかしながら、改正入管法成立前から私に対する事実無根の攻撃が始まった――。


硫黄島をはじめ多くのご英霊の力で、今の日本がある|和田政宗

硫黄島をはじめ多くのご英霊の力で、今の日本がある|和田政宗

先の大戦有数の大激戦である硫黄島の戦いで、日米両軍合わせて2万9千人が亡くなった。今回の訪問で、硫黄島で戦った方々がどのような状況で、どのような思いで戦ったのかを、まざまざと知ることができた。


「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

トランプ前大統領の〝盟友〟、安倍晋三元総理大臣はもういない。「トランプ大統領復帰」で日本は、東アジアは、ウクライナは、中東は、どうなるのか?


いきなり示された自民党改革案 このままでは承服できない!|和田政宗

いきなり示された自民党改革案 このままでは承服できない!|和田政宗

3月6日、党改革案がいきなり示された――。自民党はすでに国民の信頼を失っており、党運動方針案に示したように「解体的出直し」をしなければ生き残れない。


最新の投稿


【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは  『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは 『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


わが日本保守党|広沢一郎(日本保守党事務局次長)

わが日本保守党|広沢一郎(日本保守党事務局次長)

昨今の政治状況が多くの日本人の心に危機感を抱かせ、「保守」の気持ちが高まっている。いま行動しなければ日本は失われた50年になってしまう。日本を豊かに、強くするため――縁の下の力持ち、日本保守党事務局次長、広沢一郎氏がはじめて綴った秘話。