【読書亡羊】実は「投票用紙が一番安全」!? 不正選挙を防止せよ! 土屋大洋・川口貴久編著『ハックされる民主主義』(千倉書房)、山田敏弘『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


ドミニオン・ヴォーティング社製の電子投票はマークシート印字機とマークシート読み取りシステムによりマークシートによる投票を電子化するものなので、仮に不正の疑いがある場合には、マークシート自体を用いて再集計することが可能である。このため、不正が行われたと認められる可能性は極めて低いであろう。また、そもそもドミニオン・ヴォーティング社の電子投票機は共和党の州政府によって導入が決定されたものであり……。

一部界隈で選挙不正の代名詞になっていたドミニオンは、実は共和党が採用したメーカーだったのだ。

「選挙不正はなかった」でクビに

山田敏弘『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)も、大統領選に関するサイバーセキュリティを取り上げる。

「トランプ大統領」が誕生した2016年の米大統領選は、民主党陣営がロシアのサイバー攻撃に遭い、メールなどが民主党やヒラリー候補に不利な形で流出させられた。

アメリカとしては、同じ轍を踏むわけにはいかないと2020年の大統領選では相当、神経を使って徹底的なサイバー対策を行った。しかもそれは、トランプ大統領の指示に基づいてなされたものだという。

山田氏は米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁のトップだったクリス・クレブス局長の言を引く。それによると、選挙前の情報工作はもちろん、投開票に使われるシステムのチェック、サイバー方面の監視、投開票に携わるスタッフの管理を徹底し、さらには「投票の記録を紙で残す」よう指示を出したのだという。結果、どうなったか。

史上最も波乱に満ちた米大統領選挙は、サイバーセキュリティを任された組織によって最も安全が守られた選挙でもあったのだ。

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