「米中が手を取り合った」対テロ対策
確かに2000年代初めには、ウイグル人によるテロや暴動が起きた。
そしてこの2000年代初めの国際情勢がウイグル人に暗い影を落としている。
2001年当時、駐米中国大使は「テロとの闘いに対して、中国はアメリカと手に手を取って立ち向かいます」と述べ、実際に中東や中央アジアでテロ容疑者の掃討に乗り出した。さらにアメリカ側も、「東トルキスタン・イスラム運動」をテロ組織として認定。イスラム教徒は米中の「共通敵」とみなされ、グアンタナモ湾収容キャンプに容疑者として収容されたウイグル人たちもいた。
中国は必要なものを手に入れた。テロ計画の証拠もなくウイグル人をグアンタナモ湾収容所に閉じ込めるというアメリカの決定は、中国によるウイグル人への扱いを正当化するのに役立つものだった。
筆者はこう指摘する。本書はその意味で、中国共産党だけでなく、アメリカにとっても「不都合な書」なのだ。