『AERA』がやらかした「アンケート信奉」
10月13日、AERA.dotが「財務省文書改竄問題の余波で自殺した赤木さんの妻の手紙によって、『森友問題解明』を衆院選の第一テーマとする世論が高まっている」という記事を書いた(https://dot.asahi.com/dot/2021101200074.html)。
筆者は元NHKの相沢冬樹氏だが、この記事は「yahooニュース・みんなの意見」アンケート調査を論拠にしている。
12万人が回答しているというが、同一人物が複数回答している可能性や、回答者の母体の偏りを排除できておらず、仮に12万人が答えようとも、いわゆる「世論調査」と同列に語ることはできない。政府に批判的であれ、好意的であれ、この種の「アンケート」を根拠にすれば、どんな記事でも作れてしまう。
こうした「アンケート」やネット「調査」を重んじ、一方で新聞社などの世論調査を軽んじるのはいただけない。様々な憶測や非論理的な批判で世論調査に対する信頼が損なわれれば、ただでさえ低い回答率はますます下がる。
そうした客観調査がなくなってしまった未来を望むかどうか。
時間のかかる手順と自由意思を前提としてマスコミ世論調査を継続していますが、このまま回収率が低下すれば自然に消滅します。その命運は有権者の手中にあります。
鈴木氏の指摘を重く受け止めるべきだろう。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。