秋篠宮殿下ご夫妻、眞子様への進言|八幡和郎

秋篠宮殿下ご夫妻、眞子様への進言|八幡和郎

突如、眞子様、小室圭氏年内ご結婚の情報が。小室圭氏問題をいち早く批評してきた筆者。月刊『Hanada』2021年9月号の寄稿に、新たな序文を加え、再録!


さて、眞子様と小室氏の騒動に隠れた感があるが、「安定的な皇位継承を議論する有識者会議」(座長・清家篤元慶應義塾長)の専門家等ヒアリングが終了し、政府に対する報告をまとめる見通しである。それを受け、政府は国会に検討結果を報告するが、総選挙への影響を考慮し、選挙後に先送りするといわれる。
 
眞子様の問題もこの検討に大きな影響を及ぼしたようで、ヒアリングでも、①女性天皇には賛成がやや多かった。②女系天皇には慎重論が多く、③女性宮家には賛否相半。④旧宮家の復帰には概ね賛成だった。
 
女帝や女系による皇位継承を認めるといっても、悠仁様を廃嫡して愛子様を女帝にというのは一般世論においても少数意見だろうし、皇室や政府の周辺ではほとんど支持者がいないのではないか。
 
世論調査では、女帝のみならず女系天皇にも肯定意見が多いというが、女系天皇の意味も分からずに答えている人も多いし、悠仁様を廃嫡して愛子様を天皇にという設問のアンケートはこれまでされていない。
 
愛子様は将来、天皇になるべく帝王教育をされているわけでなく、むしろ、ご両親である両陛下は伸び伸びと自由に育てたいという教育方針をとられてきた。一方、悠仁様は幼い時から将来の天皇として英才教育を受けてこられ、紀子様の教育ママぶりも成功しているように見受けられる。

もちろん、思春期もあるから、平穏無事に模範的なプリンスであり続けることを期待するのは無理な話であるが、まずは順調な成長ぶりであるのに、悠仁様に皇位継承問題で不安を与えるようなことは避けるべきであろう。
 
ともかく小室圭氏の登場で、野心家が内親王を誘惑して皇室に近づこうとすれば面倒だと男系派が指摘していた危惧が現実となり、そんな男性など現れるはずがないと強弁していた女系派の主張は砕け散った。
 
また、見逃されがちなのだが、女系派の主張の致命的欠陥は、実質的にはたった4人しかいない上皇陛下の孫のほかは、将来にあっても皇位継承を認めないと主張しているらしいことだ(共産党の志位委員長が、旧宮家の復帰は憲法上問題があるといっているのは巧妙な天皇制廃止の陰謀だ)。
 
しかし、従兄弟(従姉妹)四人の子孫が何世代かで絶える確率は低くない。皇室では歴史的に近親婚が多かったからか、出生率が低くなっているだけになおさらだ。
 
そうだとすると、仮に何世代かあとに上皇陛下の血統が絶えたら、皇室は店仕舞いなのだろうか。そのときになって旧宮家の子孫からというのは、臣籍降下のときに皇族であった方の本人すらご存命である現時点とは比較にならない困難さがある。
 
さらに、特定の君主の子孫に継承を限定するのは、それがオランダのように初代の君主であるか、中興の祖だとか、あるいはよほどの事情がない限りおかしい。

英国では宗教戦争のあと、カトリック排除のためにハノーバー選帝侯妃ゾフィー(スコットランドのメアリー女王の曾孫)の子孫でプロテスタントに限っているのが一例だ。もし皇室の歴史のなかで区切りをつけるとすれば、明治天皇か、南北朝や戦国の混乱期が終わったあとの後陽成天皇あたりしかないのではないか。
 
ちなみに、女系でもう少し遡らせるなら、昭和天皇の女系子孫である東久邇宮家や島津家、大正天皇の女性子孫である三笠宮家や、そこから派生した近衛家、裏千家、高円宮家から派生した守谷家など、明治天皇の女性子孫なら北白川、朝香、竹田、東久邇家とその子孫だが、そんなことをするなら、旧宮家のうち明治天皇の皇女が降嫁した四家を皇族に復帰させたほうが率直だ。
 
平成年間の議論で、両陛下への国民の敬慕の念は深いのでその子孫を優先すべきとかといった政治家がいたが、その時々の陛下に特別の意味を持たせるのは古今東西の例を見ても混乱のもとであるし、まして、いかに美智子皇后(当時)が傑出した方であったとしても、皇后の血統を考慮するのは賛同しかねる。

皇位継承予備軍の登録を

歴史的に見ると、ロシア(ノブゴロドのリューリクの系統が切れたのちのロマノフ家)やスペイン(レコンキスタを始めたアストリア公ペラヨの娘婿の弟であるヘルムートの子孫)では、建国者たる王家の断絶を受けて皇后の兄弟の子孫が王家となっているが、男系男子の子孫がいるのに皇后の血統でもあるまい。
 
ただし、私は保守派の多くの論者と違って、女系はどんな場合でも排除するとまではいいたくない。というのは、男系男子といっても旧宮家関係者ではこれから結婚するといった世代には10名くらいしかおられないから、永続を保証できない。
 
さらに、戦前に臣籍降下した「賜姓華族」とか、江戸時代に親王が公家の養子になった「皇別摂家」まで含めても数十人くらいしかいないようで、永続性を保証できる数とは言えない。英国では5000人ほどの継承権利者が登録されている。
 
私は、それも考えれば女系も完全に排除する必要はないと思う。むしろ、まずやるべきは、たとえば後陽成天皇以降の男系男子、明治天皇以降の女系も含めた子孫を皇位継承予備軍として皇統譜付表のような形で登録することだと思う。
 
一方、公務については、皇族の身分があろうがなかろうが、宮内庁参与のような形で、旧宮家の男子や元皇族の女性など広い範囲の方々に手伝ってもらえばいい。海外ではそういう場合に、元プリンスやプリンセスを名乗っても不自然でない。
 
皇室との繋がりをもつ予備軍をつくっていけば、おのずと旧宮家のなかから候補者も出てくるし、男系男子と内親王、女王の縁組みも成立するかもしれない(過度に期待しないほうがいい。近親結婚には慎重であるべきだ)。
 
いずれにせよ、悠仁親王が上皇陛下が退位された八十五歳になられるのは2091年である。私が思うに、悠仁様が成人される前後から、悠仁様と同世代の方を何人かどこかの宮家の猶子とし(養子でないので断絶した宮家でも構わない)、その人たちの子供の世代で何人か生まれながらの皇族として皇位継承候補が現れればいいことで、旧宮家復活にせよ女性宮家にせよ、もう少し時間をかけて良いのではないか。
 
また、万が一、不運が重なって急に男子の皇族がいなくなれば、現在、3人ずつの内親王と女王が皇室にはおられるのであるから、その方々がすべて結婚されるのでなければ、女帝ないし摂政になってもらうことに誰も異議はなかろう。
 
ただ、そのあたりを憲法は想定していないので、天皇空位のときにどのようにして皇位継承者を決めたり摂政に代行していただくかは、憲法改正の際に緊急事態条項の一環でもいいから手当てしておいたほうがよいと思う。

宮内庁長官の迷走

 眞子様の問題で、宮内庁長官は「(小室文書は)丁寧で理解できた」と発言した。眞子様の味方が誰もいないのでは気の毒ということだろうが、国民の違和感は大きかったし、コロナと東京五輪の問題でも不可解な発言が飛び出した。

「(陛下が)東京五輪開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している」という6月24日の記者会見での発言である。
 
一般論として、さまざまな問題について君主が自分の意見を持つのは自由だし、英国では女王はそれを首相に自由に伝えたり議論したりできる。ただ、それを女王の意見として世間に出すのはタブーである。
 
とくに、選挙の前に争点となっている問題について意見を漏らすなど論外で、あの発言が東京都議会議員選挙の前にされたのは憲法上も不適切だったし、これが英国なら君主制の是非にまで及びかねない脱線だ。
 
それから、コロナ・ワクチン接種を陛下がされる問題でも対応に疑問符がつく。陛下は第一回の接種を7月6日にされたという。海外から来るVIPたちと皇室外交を繰り広げる立場だから、コロナをうつされる可能性も大きいし、いったん感染すれば感染させる側にもなりかねない。こうしたワクチン接種を確実にするのは、宮内庁の責任だと思う。
 
おりしも、NHK大河ドラマ「青天を衝け」では、孝明天皇は疱瘡で亡くなったが、明治天皇は濃厚接触者だったにもかかわらず、外祖父の中山忠能が種痘をさせていたので無事だったことが描かれていた。幕末の朝廷の先進性と令和宮内庁の対応と比較して、もう少しなんとかならないかと思う。

(初出:月刊『Hanada』2021年9月号)

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