日本共産党と志位委員長の「同調圧力」|松崎いたる

日本共産党と志位委員長の「同調圧力」|松崎いたる

「同調圧力が強まれば少数意見や異論が排除され、自由のない全体主主義的な社会に陥ってしまう」と、政府や自民党を批判している立憲民主党の枝野代表!それこそまさに御党が共闘している日本共産党に対して言うべき批判だ。日本共産党を支配する異常な「同調圧力」を元共産党員が告発!


私のこの指摘に対して、同じ党規約の中に「党の意思決定は、民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める」や「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」という条項があることをもって反論する党員もいる。

だが「民主的な議論」の実態は党中央から降りてきた「議案」を読んで感想を述べ合う「学習会」に過ぎない。

もし党の方針とは異なる意見を持ったとしても、その意見への賛同者を募ることは「党内に派閥・分派はつくらない」(第三条四項)と規定している規約に違反する行為とされてしまう。党内で多数意見を形成しようとすることはすべて反党活動なのだ。

これは党規約第三条五項の「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」と矛盾している。この矛盾は党中央と異なる意見を持つ者は別の理由をつけて排除しようとする動機を生む。

共産党議員の除名や除籍の理由のほとんどが規約の「市民道徳と社会的道義をまもり、社会にたいする責任をはたす」(第五条一項)に対する違反行為であるのはそのためである。

実際に反社会的行為を犯した党議員が多いのも事実だが、党の方針と異なる言動がほんとうの理由であることも少なくない。

共産党は排除しようとする党議員、党員の行動を調べ上げ、処分理由を探そうとする。

不倫問題、飲酒でのトラブル、借金、夫婦げんか…あらゆることが「市民道徳と社会的道義」に反することとして処分対象にされる。

私自身も自民党議員と冗談を言い合ったことが、「党内の秘密を他党に漏らした」として処分対象になったことがある。自民党区議が「うちは党費が高くてたいへん」と愚痴をこぼしたのに対し、私が「うちは収入の1パーセントが党費だけど、その代りカンパをたくさん収めなきゃならない」と返したのを、背後で聞いていた別の共産党議員が党組織に報告したのである。

これだけでは除籍理由にはならなかったが、「話し合い」と称する査問の呼び出しは何度もあった。査問は私一人対党幹部二人以上で行われる。私が「弁護士か付添人を同席させたい」と要求すると、不当な要求で「話し合いを拒否した」ことにされ、これが直接の除籍理由になった。

私以外の除籍された元党議員の話を聞くと「自民党議員と酒席を共にした」というのが除籍理由になったという。その議員の事務所退去を手伝った党員も「反党分子」に協力したという理由で処分されたという。

まさしく恣意的な処分だが、排除理由の是非を検証するにも「党の内部問題は、党内で解決する」の規定があるため公表されることはない。そもそも共産党では規約にもとづく決定や処分が下す際にも会議録その他の記録は一切とらないので、規約の解釈はそのときどきの党幹部の自由裁量に任されている。

裁判所で裁判官が下す判決は、法律の条文だけではなく、過去に同じ法律の同じ条文によってどんな判決が下されたのかが記録された判例が根拠とされる。「前例主義」などと批判されることもあるが、判例を省みない判断は、裁判官の勝手な法解釈を生み、独断による法権力の行使につながる。

ところが共産党内の「法律」と言える党規約では「判例」にあたる記録がない。判例なき裁判所になっているのだ。

全体主義的な恐怖政治

こんな実態がある党が政権についたときにどんなことがおこるだろうか?

共産党は「党内のルールを党外に押しつけない」旨のことを言っているが、共産党が権力の一端でも握れば、共産党内で「常識」となっていた考え方が政権内に反映していくことは当然だろう。

党内では、暗黙のうちの「同調圧力」とともに、規約の恣意的解釈による言論統制がすでに行われている。それが国家レベルになれば全体主義的な恐怖政治になるだろう。

こうした予測にはすでに警戒の声が上がっている。

国民民主党、立憲民主党がそれぞれ連合と締結した政策協定には「左右の全体主義を排し」との文言が盛り込まれ、国民民主党の玉木雄一郎代表が左の全体主主義とは「共産主義、共産党のことだ」と発言した。

共産党はこれに反発し、「わが党は、戦前から軍国主義とファシズムとたたかい続け、いまも綱領に明記しているように、自由と民主主義を何よりも大切にしている政党であり、全体主義とは対極にある政党だ」(2021年7月19日、小池晃書記局長の会見)と発言撤回を求めた。玉木氏は「反論は受け止める」としながらも撤回には応じなかった。

批判に反論するのは当然だが、批判的な意見そのものの撤回を要求するのは、民主主義をわきまえない傲慢な態度だ。

そもそも「全体主義である」と自称する者はいない。全体主義の典型例とされるヒトラーやスターリンでさえ「われは全体主義者なり」と公言したことはないのだ。小池氏の反論は、ヒトラーのナチスドイツと死闘を繰り広げたスターリンが言ってもおかしくない内容だ。全体主義であるかないかは他者からの視点での批判であり、他者からそう認識されている共産党こそ、その批判を重く受け止めるべきだろう。批判に対して「発言を撤回しろ」というほうが全体主義的発想そのものだ。

共産党に忖度する立憲民主党の枝野代表

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