経産省はかなり前から「国防七子」について把握しており、日本の大学側に注意喚起をして、機微技術が留学生によって流出しないように輸出管理担当部署の設置を指示していました。しかし、作成はしているけれどそれが機能しているかどうかは別問題で、現状の運用では流出防止が担保されていないのです。
文科省も、経産省の「外国ユーザーリスト」を受けて作成した交流協定のガイドラインに、こう記しています。
《学術交流協定の締結予定先が、輸出貿易管理令別表第四に掲げる懸念国所在、あるいは経済産業省指定のユーザーリストに掲載されている懸念される大学・懸念機関の場合は、原則として交流協定を締結してはならない。 但し、特段の必要性あるいは疑義等がある場合は、輸出管理部局等責任者経由で国際交流担当副学長および、交流協定の内容に応じて研究担当副学長または教育担当副学長の双方、あるいはいずれかに安全保障輸出管理について相談の上、輸出管理統括責任者に諮問を行うこと》
書いてあるとおり、「ユーザーリストに掲載されている」大学との交流は原則禁止ではあるけれど、後段にあるように「必要性などがあるのならばよい」という形になっているため、実際には交流がなし崩し的に行われているわけです。
文科省のオープンデータによると、大学間交流協定でどこの大学がどこの大学に学生をどれだけ送り出し、受け入れているのかは表1のようになります(平成29年度)。
この数字は留学生だけでなく、短期留学生やイベント参加などの一時留学生も含まれているので、長期にわたって日本で学んでいる留学生がどれくらいいるかははっきりしません。
また、共同研究がどのような内容のものなのか、機微技術がどれだけアクセスされていたのかといった詳細も把握できていません。詳細は調査中です。
経済安全保障の問題だ!
中国の軍産複合体制には警戒が必要です。2017年に中央軍民融合発展委員会が新たに設立されたあと、18年には「軍民融合戦略綱要」が決定されました。この戦略の 「主要課題」の冒頭では、次のように記載されています。
《海洋・宇宙・サイバー空間等の分野での軍備融合発展の推進に力をいれ、科学技術・経済・軍事において機先を制して有利な地位を占め、将来の戦争の主導権を奪取する》(傍線・筆者)