もちろん漢民族も監視対象だ。日本では「チャットアプリ」と紹介される中国テンセント社製のウィチャットは、日本のマイナンバーに当たる身分証番号を登録して健康管理に利用するほか、ウィチャットペイという電子マネーを使うために銀行口座も紐ひもづけられ、国民の生活全般を管理するアプリになっている。
しかも中国国内では外国製アプリは使用できないため、他に選択肢がない。関係者との連絡もすべてウィチャットで行われるため、登録していないと電話もメールもできない。
当然、すべてのやり取りは中国共産党の監視のもとにあり、会話・買い物・移動などのほとんどの履歴を握られることになる。
BBC中国特派員のスティーブン・マクドネル記者は、ウィチャットに香港で行われた天安門事件追悼イベントの写真を数枚、アップしたところ、「このアカウントは悪質な噂を広めた疑いがある」としてロックされた。
解除するには、自身の顔写真と、アプリが指定する文言を読み上げた音声データの登録が必要だった。これで要注意人物として登録されたことになる。
中国共産党の監視網は国外にも広がる。
オーストラリアの情報機関(ASIO)の本部近くに中国人が土地を買い、監視など情報収集をしていると指摘された。日本でも同様のことが起きているのではないか。
『「目に見えぬ侵略」「見えない手」副読本』㉗共産党と相性がいい高度テクノロジー監視社会
『目に見えぬ侵略』『見えない手』の入門書と言える『副読本』を発売! 二冊の大著から奥山真司氏監修のもとエッセンスを抜き出し、見開き40項目だけでシンプルに解説しています。その中から三項目を特別公開。今回は三つ目「監視社会」。
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