スクープ!中国拘束116日はじめて明かされた全真相|吉村剛史

スクープ!中国拘束116日はじめて明かされた全真相|吉村剛史

「彼らの狙いは王毅だった」――中国で拘束された岡山県華僑華人総会のトップがはじめて明かした拘束116日間の驚くべき全貌。屈辱の“拷問体験記”!


屈辱の拘束・拷問体験記

劉勝徳氏がまとめた「拘束・拷問体験記」(撮影/筆者)

「男たちは、国家安全部所属を名乗り、『スパイ容疑で拘束600日』と告げ、以後私は24時間彼らの監視下におかれた」 「銃殺刑とか、拘束10年もあり得るなどと脅されたうえに、連日連夜の取り調べ。かつての王毅元駐日大使(現国務委員兼外相)との関係や、王毅氏が岡山講演で語った内容などを繰り返し聞かれたあげく、ポリグラフ検査(うそ発見器)にまでかけられた。彼らの真の狙いは王毅氏だった」 「完全に先入観と思い込みによる勇み足の身柄拘束。中国国内の権力闘争に巻き込まれたとしか思えない」──。  

出張先の中国蘇州市内で2016年11月に拘束され、4カ月間、中国国家安全部(省)から拷問に等しい取り調べを受けた岡山県華僑華人総会(岡山市北区)の劉勝徳会長(74)が、その“屈辱の拘束・拷問体験記”をこのほど筆者に示し、インタビューに応じた。その仰天証言の数々を初公開する。

約4カ月間にわたる厳しい尋問

劉氏は昭和21年、島根県出雲市生まれの在日華僑2世。父親は福建省出身で、家業の衣料品店は継がず、長年、中国公館とも連携して在日華僑・華人、中国人留学生の地位向上や生活、学業支援、日中友好行事や交流促進行事などに尽力した筋金入りの華僑活動家だ。30代で岡山に出て中華料理店の支配人を務め、その後、本国の支援も得て独立を果たし、一時は地元で名の通った中華料理店「天安門」の経営者となった立志伝中の老華僑で、西日本華僑・華人社会の重鎮としても知られている。

2016年11月22日、劉氏は、通訳の中国人男性と一緒に蘇州市内で身柄を確保され、約1カ月後に天津に移送。翌17年3月17日まで、計約4カ月間にわたって厳しい尋問を受けた。岡山市の自宅に帰還を果たした直後、その“屈辱体験”の備忘録として「岡山県華僑華人総会 業務訪中時 身柄拘束事件」との表題で、A4判用紙11枚分の“拘束・拷問体験記”を日本語で一気に書き上げたという。

関連する投稿


ビジョンだけで国防や軍縮は達成できない|太田文雄

ビジョンだけで国防や軍縮は達成できない|太田文雄

願望の表明や、宣言、メッセージの発出は、戦略ではない。中国を核軍縮のテーブルに着かせるには、まず日米の側が同等の戦域核を持ち、戦力を均衡させることから始める必要がある。


【読書亡羊】必読、対中国「政治戦」の教科書を見逃すな!  ケリー・K・ガーシャネック著、鬼塚隆志監修、壁村正照訳『中国の政治戦 -「戦わずして勝とう」とする国への対抗戦略』(五月書房新社)

【読書亡羊】必読、対中国「政治戦」の教科書を見逃すな! ケリー・K・ガーシャネック著、鬼塚隆志監修、壁村正照訳『中国の政治戦 -「戦わずして勝とう」とする国への対抗戦略』(五月書房新社)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


中国に媚びを売る?危険すぎる沖縄県人権条例|篠原章

中国に媚びを売る?危険すぎる沖縄県人権条例|篠原章

沖縄県の照屋義実副知事が着任したばかりの呉江浩駐日大使を表敬訪問したその日、ある条例が可決していた。「沖縄県差別のない人権尊重社会づくり条例」(「沖縄県人権条例」)――玉城デニー知事の思惑が透けて見える危険な条例の実態。


日本はいま最大の危機にある|岩田清文

日本はいま最大の危機にある|岩田清文

「台湾有事は日本有事」……安倍総理の警告が、いまや現実化しつつある。 いま、日本になにができるのか。陸自トップだった岩田清文氏の新刊『中国を封じ込めよ!』から「はじめに」を全文公開!


米シンクタンクが安倍元首相を「日本の歴史上最も偉大な首相、世界のリーダー」と大激賞!岡部伸

米シンクタンクが安倍元首相を「日本の歴史上最も偉大な首相、世界のリーダー」と大激賞!岡部伸

米シンクタンク「ボストン・グローバル・フォーラム」が、安倍晋三元首相を追悼する国際会議を開催、会議を主宰するマイケル・デュカキス元米マサチューセッツ州知事は「世界を平和と安定に導くリーダーシップを発揮した安倍氏を失ったことは大変残念だ」と悼んだ。


最新の投稿


【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

【読書亡羊】『土偶を読む』騒動を知っていますか 縄文ZINE編『土偶を読むを読む』(文学通信)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


【埼玉県川口市 クルドの現場を行く②】地元住民の苦悩|西牟田靖

【埼玉県川口市 クルドの現場を行く②】地元住民の苦悩|西牟田靖

入管法改正案についての報道が相次いでいる。そのトーンは反対一色。難民を認定しない日本政府や入管は悪、翻弄される外国人は善――という非常に単純化された報道ばかり。その一方、不良外国人の迷惑・犯罪行為に困る地元住民の声はほぼ封殺されたままだ。


原子力規制委の抜本的改革が必須|奈良林直

原子力規制委の抜本的改革が必須|奈良林直

柏崎刈羽原発で東電の社長を厳しく追及し、社員のやる気をなくさせているのが現在の原子力規制委の山中伸介委員長。電力事業者の取り組みがうまくいかないのは、規制委の采配が下手だからだ。我が国でも米国のように、規制委の抜本的改革が必要である。


広島サミット成功と浮かれていいのか|田久保忠衛

広島サミット成功と浮かれていいのか|田久保忠衛

お祭り騒ぎや日本式のおもてなしではどうにも片付かない冷厳な現実が待ち受けている。己を知らない国に救いはない。


動くか拉致問題、北が協議提案に即反応|西岡力

動くか拉致問題、北が協議提案に即反応|西岡力

水面下での秘密協議がすでに始まっているか、近く始まる可能性が高い。ただし、そこで、合同調査委員会設置案など「全拉致被害者の即時一括帰国」ではないごまかしの提案が出てくる危険性がある。推移を注意深く見守るべき時だ。