豚熱への対応でも後手後手
沖縄では、この新型コロナウイルスの感染拡大よりも前の今年1月に、豚の感染病である豚熱が猛威を振るった。最初に豚熱が発生したうるま市の農場から県への通報が非常に遅れたため大きな被害をもたらしたとされるが、県の対応もまずい。
県内の養豚業者からは早期にワクチン接種を望む声が寄せられたが、ワクチンの接種を決めたのは2週間以上経ってから。県政与党からも「遅い」の声が上がった。
昨年10月には、沖縄県民の心の拠り所である首里城が火災で焼失したが、未だに火災原因が明らかになっていない。火災原因の特定は、県警や那覇市消防本部がすべきことだが、両者は「火災原因はわからない」とすでに匙を投げている。
そもそも首里城の管理責任は県にあり、玉城知事は「再発防止策を取りまとめる」とたびたび述べているが、火災原因も分からずに、どうやって再発防止策を練るというのだろう。
県民の生命や健康より支持母体の意向を重視するのか
玉城知事の優柔不断ぶりが厳しく問われている課題がある。沖縄本島北部の基幹病院の整備計画だ。
北部の名護市には、大規模病院として県立北部病院と北部地区医師会病院がある。二つの病院ともに慢性的な医師不足に悩まされ、医師が常駐しない診療科が増えてきたことから、二つの病院を統合し新たな基幹病院を設置する方針が決まったが、これに反対するのが県職員労組だ。
統合によって、県立北部病院の職員のなかには県内の他の県立病院へと転属を求められることが予想されるからだ。
県職労は、玉城知事を支持する有力母体である。そのせいであろう、玉城知事は判断を先延ばしして、いつまで経っても整備に向けた基本合意書に同意しようとしない。これには、県民の生命や健康より支持母体の意向を重視するのか、と県民の批判が高まっている。