その沖縄では、5月29日告示、6月7日投票という日程で沖縄県議会選挙が行われる。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために集会を開くことができず、各陣営とも盛り上げに四苦八苦しているが、地方の一県議選と片づけるわけにはいかない重要な選挙である。
政府が進める米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり反対の姿勢を続ける玉城デニー知事の任期の折り返しにあたり、中間評価という意味合いがあるからだ。日本の安全保障政策にも直結する重要な選挙と位置づけることができる。
選挙の焦点は、玉城知事の県政を支える共産党や社民党、さらに沖縄のローカル政党である社大党など革新各党からなる「オール沖縄」勢力に対し、県政野党の自民党や公明党などが過半数を奪うことができるかどうかだ。
沖縄県議会の定数48のうち、現在は2議席が欠員である。県政与党は現在、社民・社大・結連合が11、おきなわが8、共産が6など合計26で過半数を握る。
一方、県政野党は、自民が14、公明が4に留まる。また、これまで県議会で自公と協力関係にあった維新は、下地幹郎衆議院議員がカジノ誘致をめぐり中国企業から現金を受け取っていた問題で維新を除名されたことを受け、2人の現職県議も維新を離れ、新たに無所属の会という会派を立ち上げている。自民・公明にこの2人を合わせても、現在は20。県議会で過半数を奪うには、5議席増やさなくてはならない計算になる。
沖縄経済にとって未曾有の危機!それでも遅い対策
沖縄県議選の争点はなにか。地元紙はいつものように、辺野古移設問題が最大の争点だというが、やはり新型コロナウイルスへの対応が、県民にとっても最も気になる問題であるはずだ。
その点では、玉城デニー県政による危機管理に疑問符がつくのは冒頭にお伝えしたとおりだ。3月には那覇空港の第二滑走路の供用がスタートしたが、那覇空港を発着する海外路線230便がすべて運休となってしまっている。
観光を主力産業とする沖縄経済にとって未曾有の危機であり、ホテルやタクシー、飲食など関連産業は深刻な打撃を受けているが、その対応策ともなると県の動きは遅い。