山本太郎と共産党の主張はうり2つ
消費税廃止の代わりに、「法人税の累進制化」の導入を訴えています。儲かっている企業からは税率を高めにして、多くの税金を取ろうというわけです。
市場経済を否定するかのような言動を取る左派系が、よく行う主張です。利益が上がれば上がるほど税金を取られるようでは、企業はたまったものではありません。企業は法人税が少しでも安い海外に逃げていくのが関の山といえそうですが、彼は「そうではない」と言い張ります。
その根拠に使っているデータが、経済産業省の企業を対象にした海外事業活動基本調査です。これの平成26年度の結果がスライドでよく登場します。タイトルは「海外進出を決定した理由」。
映し出すのは上位3位(項目)の結果です。それによりますと、1位は「現地の製品需要が旺盛又は今後の需要が見込まれる」が67.5%、2位が「納入先を含む、他の日系企業の進出実績がある」の32.9%、3位が「進出先近隣3国で製品需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる」の28.3%となっています。
京都市内での街頭で山本は上位3位の結果を示して、「とにかく物が売れなきゃいけないんだ。それがよくわかる内容だと思います」と語りかけ、次のスライドで「第8位 8.7% 税制、融資等の優遇措置がある」と映し出して、「意外と少ないでしょ」と話していました。
元のデータを調べたところ、正しくは「5位 8.0%」でした。データを使う場合は正確性を期しましょう。
さて、この「8.0%」をどう見るかですが、先進国の間で法人税の引き下げ競争が激しさを増しているのは言うまでもありません。企業誘致のための税率引き下げ競争が激化し、税制の優遇措置が海外投資のインセンティブにならなくなっている現実があるのです。したがって、順位は上位にならない。それだけのことです。ちなみにこの経産省のデータは、共産党機関紙「しんぶん赤旗」もたびたび取り上げています。税金を徴収する標的に大企業を据えている点で、山本と共産党の主張はうり2つです。