太陽光発電の闇と小泉一族|奈良林直

太陽光発電の闇と小泉一族|奈良林直

公職にある小泉進次郎環境大臣(当時)の主張が、自らの一族に「太陽光マネー」が転がり込む一因となっていたとすれば、利益相反にもなりかねない。その他、メディアが再エネを礼賛する裏で進む電力料金のさらなる値上げ、深刻な環境破壊など太陽光発電の深い闇を徹底追及する!


莫大な太陽光マネー

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我が国の太陽光発電発電設備の発電能力は2020年に67GW、100万kWの原発67基相当になった(1GW《ギガワット》=100万kW)。2019年に比べ5GW増加した。毎年、原発5基を建設しているようなものだ。

この太陽光発電の買取価格は1kWhあたり42円で契約したものから、最近は19円くらいまで下がったが、それでも世界相場の2倍の高値となっている。これは投資家にとって極めて美味しい投資対象である。「年利回り10%を超える」と盛んに太陽光パネルを金融商品として販売するなど、我が国の爆発的な太陽光パネルの設置は、投資商品として普及していった。

そこへ中国や韓国の資本も次々と参入するなどして太陽光事業社には、実態を伴わない詐欺まがいの会社も多数出てきた。そうした中で「太陽光マネー」を巡る象徴的な事件が起きた。

「太陽光発電関連会社のテクノシステム(横浜市西区)が金融機関から融資名目で多額の資金を詐取したとされる事件で、東京地検特捜部は16日、信用組合から約10億5000万円をだまし取ったなどとして、詐欺と会社法違反(特別背任)の疑いで社長の生田尚之容疑者(47)を再逮捕した。詐取したとされる額は計約22億円となった。(中略)

再逮捕容疑では2020年6月、発電設備への融資名目で虚偽の書類を出すなどし、大阪府の信組から約10億5000万円を詐取。18~19年には、自社の資金計3億9400万円を海外のカジノで負った自身の借金返済に充て、会社に損害を与えたとされる。

特捜部は16日、徳島県の地方銀行と静岡県の信用金庫から20年7月、それぞれ約7億5000万円と約4億1500万円をだまし取ったとして生田容疑者を起訴。地方銀行の事件については、ともに逮捕された専務の小林広、元専務執行役員の近藤克朋の両容疑者も起訴した。

生田容疑者は、インターネットで投資を呼び掛ける融資仲介業者からも、巨額の資金を集めていた。「ソーシャルレンディング(SL)」と呼ばれる仕組みで、事件ではSLのリスクも垣間見える。
「SLを使えば、10億円くらいは数秒で集められますよ」。生田容疑者の仕事仲間の男性は数年前、「いい事業があるので、やってみないか」と持ち掛けた際、そう返されたことを覚えている。(中略)

テクノ社は2017年から仲介業者に、ネット金融大手「SBIホールディングス(HD)」の子会社「SBISL」を利用。20年までに融資した約383億円のうち、約129億円が別用途に使われていたことが今年4月に判明し、SBIHDはずさんな融資が行われていたとして、SBISLの廃業を決めた。」(6月17日付東京新聞)

小泉家に転がり込んだ「太陽光マネー」

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