黙殺され続けるLGBT当事者たちの本音|福田ますみ

黙殺され続けるLGBT当事者たちの本音|福田ますみ

雑誌『新潮45』の廃刊が一つのきっかけとなり議論が巻き起こったLGBT問題。メディアでは一部の活動家の声があたかも「LGBT当事者の声」であるかのように取り上げられ、野党議員も政権批判の道具、パフォーマンス材料としてそれに群がった。ところが騒ぎが静まると、まるで「用済み」と言わんばかりにメディアも野党もLGBTについては何ら関心を示さず今日に至る。 『新潮45』廃刊騒動とはいったい何だったのかー―。報じられなかった真の当事者たちの声をベストセラー『でっちあげ』、『モンスターマザー』(ともに新潮社)の著者であるノンフィクション作家の福田ますみ氏が追った。


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神名氏は体の性は男性だが、心の性は女性である。そのために女装していることが多い。

「ごく稀にですが、道を歩いていて『オカマ!』と罵声を浴びせられたことがあります。トランスジェンダーは見た目でそれとわかるケースがあるので、同じような経験をした人は多いと思います。ただし欧米のように、生命・身体の安全が脅かされるようなヘイトクライムは、日本ではまず聞きませんね」  

神名氏はいま、週に2日ほど新宿のゴールデン街の店で働いている。

「私を見て驚く人はいても、差別的な言動をする客はめったにいません。過去、トランスジェンダーと知られたうえでIT関連の仕事に誘われたし、仕事関係で差別や不自由を感じたことはないです」

神名氏はネットに、「杉田論文についての考察」をアップしている。前述のコメントともダブるが、読み応えのある論考であり、ぜひ一読してもらいたい(https://www4.hp-ez.com/hp/eon/page55/8)。

この文章中、私が最も印象に残った部分がある。

〈杉田議員が問題視しているのはLGBTそのものではなく、そこに寄生する左翼勢力であり、またLGBTを禁忌としてきた西欧社会(日本とは異なる社会土壌)で生まれたゲイ理論などでしょう。自分たちの足下から立ち上げた思想ではなく、借り物の思想でよしとしてきた当事者たちは、この点で反省するところはないのでしょうか〉  

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小川榮太郎氏に言論人としての気概を感じた

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