中村時広愛媛県知事の大罪!【告発レポート第3弾】|長谷川学

中村時広愛媛県知事の大罪!【告発レポート第3弾】|長谷川学

県庁と四国最大の中核市を掌握、県議会と松山市議会をも抱き込み"中村王国"を築き上げた中村時広愛媛県知事。70億円もの血税が投じられた大規模環境汚染に対して、「法的には問題がなかった」と居直り本誌記事を批判。中村知事の法的な問題は本当にないのか? 嘘がまかり通る異常県政の惨状を追及した告発レポート第3弾!


悪質業者に事業再開許可の謎

中村氏の「法的には問題がなかった」という主張は、自己保身のための言い逃れでしかないが、それにしても、なぜ中村氏は悪質業者のレッグに再開許可を出したのだろうか。何か特別な事情でもあったのだろうか。  

再開許可当時のレッグの社長は、松山市在住の資産家で、不動産業者の男性だった。  

関係者によると、男性は産廃業についてはズブの素人だったが、03年に、レッグの創業社長から「会社を買ってくれ」と持ち掛けられて購入したのだという。  

複数の関係者によると、男性は選挙で中村氏を支持していて、08年1月25日、松山市内のホテルで開かれた中村氏の誕生会を兼ねた「新春の集い」にも出席していたという。男性は09年10月に亡くなっている。  

この点に関しては、かつて愛媛県議会で取り上げられたことがある。質問したのは、中村氏と対立関係にあった県議だった。この県議は松山市議時代にレッグから献金を受けていたことがあり、レッグの内情に通じていたとされる。  

2016年3月8日の議事録から一部を採録する。

「知事さん、知らないわけないでしょう。知事さんの当時、(平成)20年の1月の誕生日のパーティーにも、お亡くなりになった当時社長が来ていましたよ。私、そこでお会いしていますから。何人もその人のこと、お会いしたのを証明する人はいますよ」  

これに対し、中村氏は次のように反論した。

「この会社の社長と私は個人的な面識はありません。確かにパーティーには出ているのかどうかわかりません。パーティーというのは千人規模でやりますから、どういう方がどういうルートで参加されているか、全員を把握しているわけではありませんけれども、その中にいたのかどうかも知りません。かつ直接お話しした経験もございません。ですから、ばったり会っても誰だという認識もないということを申し添えておきます。ということで、今のご質問については、撤回していただきたいというふうに思います」  

当時のレッグ社長がパーティーに出席していたことは、私も、県議とは別の関係者から確認を取っている。なお、事実関係を確認するためこの県議に取材を申し込んだところ、事務所を通じて「統一地方選挙中でもあり、取材には応じられない」と電話で回答してきた。

初めての“謝罪”、しかしここでも虚偽説明

事務所に繰り返し質問項目を送ったが電話一本なかった(画像は中村時広知事のオフィシャルHPより)

たしかに中村氏の言うとおり、男性が誕生パーティーに出席していたからといって、それが直ちに中村氏と懇意だった証拠にはならない。  

だが、懇意でなかったとすると、なぜ中村氏は悪質業者のレッグに事業再開許可を出したのかという謎は残る。  

ところで、この2日前の県議会で、中村氏はレッグ問題について、初めて“謝罪”とも受けとれる発言をしている。だが前提となる事実関係についての説明は虚偽だった。  

中村氏は次のように話した。

「(産廃業者への許可事務は)県の、あるいは市の裁量の及ばない機関委任事務として成り立っております」 「国の側から見れば、許可に関しては、国がつくった基準に合致していた場合は自動的に認めなさいよということになりまして、そして問題が起こったときには地方自治体の責任で何とかしなさいよという、非常に都合のよい制度だなということを感じました」  

この発言の誤りについてはすでに述べたとおりだが、さらに中村氏はこう発言した。

「(松山市長時代に)たび重なる行政措置命令を出したにもかかわらず、このレッグという会社は全く従わずに、そして問題が起こったということでございます。私も当時の市長として、そういう意味では、その措置命令に従わすことができなかったということの責任を痛感しております。この問題というのは、その後、会社の転売も何度となく繰り返されているような会社でありまして、本当にえたいの知れなさ、言葉は悪いですけど、そんなことを感じております」  

繰り返すが、中村氏は一度も行政措置命令を出したことがない。  

この中村会見について3月6日の県議会で、別の県議は中村氏をこう問い質したが、中村氏はレッグ問題について答弁しなかった。

「中村市長の10年間の間、シートが破れ、農業用水路が壊れるほどの廃棄物の詰め込み行為を容認・指導した」 「(中村氏が)虚偽の事実に基づいて謝罪されたのは意外でした」 「市が国に提出した(レッグ問題環境汚染対策)事業実施計画書によれば、法的強制力のある措置命令は平成23年2月22日が初めてであり、これは野志市長の時代です」 「それ以前に、中村市長が出した7回に及ぶ措置命令(注・中村氏は7回行政措置命令を出したと虚偽答弁していた)があったのでしょうか。あれば、えたいの知れないレッグという会社の今日はなかったでしょう。いわば、中村市長時代の失われた10年こそが問われるべきではないのでしょうか」  

レッグ問題を巡っては、2018年11月にレッグ処理場からの汚水流出防止などの対策工事の終了を松山市が発表。レッグに関しては、現在の社長が罰金を科されただけで終わった。  

だが、レッグ問題は終わったわけではない。レッグ処理場の埋め立て地には、いまも約25万立法メートルの廃棄物が埋まっており、松山市は工事終了後も、閉鎖まで20─30年間、施設を維持管理する見通しだ。  

なぜ中村氏は再開許可を出したのか。真相解明の作業は緒についたばかりだ。  

なお、レッグの元社長との関係の真偽などについて、本誌は改めて中村氏に質問状を送ったが、前2回同様、一切回答がなかった。

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