黒塗り広告についての質問もあった。
「広告という話だが、全国紙と地方紙で、広告の中身が一部、加工されている部分があったが、そのあたりはどのような」
この質問には、新聞社側の知事への忖度を疑う含意もあったように思うが、中村氏は「それは、私は全然関知していないし、知らないです。はい」とスルーした。
また、「このタイミングで出たことについては、何か」との質問にも、謀略説をにおわせる発言をした。
「何かあるんでしょうね。例えば、選挙の絡み。選挙の日程であるとか」
さらに中村氏は、愛媛県と訴訟になっている企業があることをあえて持ち出し、「いま、一審、二審とも県が勝訴していますので、佳境を迎えていますので、そんなところも、ひょっとしたらですよ、影響しているのかなというふうにも思います」
舞台裏を知っている私からすると噴飯ものの発言だが、一つだけ指摘しておくと、私は今回の報道に当たって、中村氏の県知事選挙に影響を与えるのを避けるため、県知事選が終了するまで、あえて地元取材を控えていた。
中村氏は2018年11月の知事選で3選されたが、私はそれを見届けてから地元での取材を始め、そして当選後に報道した。
もっとも、中村氏のこれらの発言は他愛のない邪推の類で、とくに目くじらを立てる必要もない。 だが、中村氏の発言には看過できないものがいくつもある。そのなかには、明らかな虚偽も含まれているように思う。
中村氏の発言には、自分に都合のいいように事実を捻じ曲げようとする意図すら感じられ、到底、看過できない。
そこで、前回、私が指摘した事実関係を以下で要約して再録し、それとの比較で中村氏の発言の問題点を浮き彫りにしたいと思う。
中村知事の虚偽答弁に対して記者からは何ら追加質問等は出なかった(愛媛県庁HP「平成30年度1月知事定例記者会見(平成31年1月31日)の要旨について」より)
記者から追及を受けない中村知事はまさに「言いたい放題」(愛媛県庁HP「平成30年度1月知事定例記者会見(平成31年1月31日)の要旨について」より)
事実は闇に葬られ、血税70億円が投じられていく……(愛媛県庁HP「平成30年度1月知事定例記者会見(平成31年1月31日)の要旨について」より)