朝日新聞は「アッキーストーカー」だ!|岩瀬朗

朝日新聞は「アッキーストーカー」だ!|岩瀬朗

朝日新聞デジタルというウェブ限定の記事とはいえ、この日の朝日の報道には脱力せざるを得なかった。担当記者は「昭恵叩き」に興じる自社の紙面(社論)や上司の意向を忖度して書いたのか。あるいは本当に「こんな投稿に『いいね』を押すなんて許せない」と怒りを抑えながら書いたのか。


〈主人には理想的なこの国のビジョンがある。「家庭内野党」と言うが、役割分担のようなもの。主人の意見に反発する人もたくさんいるが、そういう人たちと、どうネットワークをつないでいくかだ〉

自分の夫を袋叩きにする報道を展開してきた朝日新聞が、自分の意見を肯定的に紹介してくれる。私と夫の関係や、表からでは見えない夫の一面を紹介することで、夫を嫌いな人にもいい印象や影響を与えられるかもしれない――。

朝日だけでなく、『週刊朝日』など週刊誌がこぞって昭恵氏を取り上げたことで、昭恵氏がこのように思ったとしても不思議はない。一部には批判があろうとも、自分が積極的に動くことで、「夫の意見に反発する人ともネットワークを作っていく」ことの実感も抱いたに違いない。

しかし昭恵氏の望みは打ち砕かれる。昭恵氏にについて肯定的な報道をするのは、朝日にとっては「安倍総理批判」ができる場合、という条件付きだったのだ。

「昭恵叩き」社説40本!

2017年2月に森友学園問題で昭恵氏の「関与」が浮上して以降、連日、「昭恵」「昭恵」と見出しを打ったのはご存じのとおり。中でも驚くべきは社説だ。この14カ月余りで、「昭恵」という単語が含まれる朝日の社説は、実に40本に上る(2018年3月26日現在)。

朝日新聞は「安倍叩きを社是としたことはない」としているが、社説でここまで執拗に昭恵氏を取り上げている以上、「昭恵叩き」は社論と言われても仕方がないのではないか。


●2017年3月7日社説「安倍昭恵氏 公的立場の説明責任を」
〈公的立場にある者として、昭恵氏には「私人」を盾にすることなく、国民が納得できる説明をする責任がある〉
●同年3月24日社説「籠池氏の喚問 昭恵氏の招致が必要だ」
〈もちろん、籠池氏の一連の証言が事実だとは限らない。解明するには、昭恵氏本人の公の場での証言が不可欠だ〉
●同年3月25日社説「森友学園問題 説得力ない首相の説明」
〈昭恵氏も自ら国会で説明すべきである〉
●同年4月8日社説「『首相夫人付』 誰のための奉仕者か」
〈まず昭恵氏が説明責任を果たすことが、その第一歩だ〉
●同年5月12日社説「森友学園問題 昭恵氏に聞きたいこと」
〈昭恵氏本人が説明し、疑惑が解明されない限り、追及は終わらない〉
●同年6月21日社説「加計、森友問題 疑惑の全容を解明せよ」
〈学園が強制捜査を受けた今、昭恵氏は説明責任を果たすべきだ〉
●同年8月1日社説「籠池夫妻逮捕 国有地問題を忘れるな」
〈昭恵氏の招致を含め、国会は独自に事実関係を明らかにするために動き出すべきだ〉
●同年8月23日社説「森友学園問題 これで適正な処理か」
〈学園の小学校の名誉校長を務めた首相の妻の昭恵氏らを招致すべき〉
●同年9月21日社説「森友・加計 どこが「小さな問題」か」
〈真相解明の鍵を握るとみられながら口を閉ざしたままの人がまだまだいる。(中略)森友学園の小学校の名誉校長を引き受け、講演もしてきた首相の妻昭恵氏らだ。国会で話を聴く必要がある〉
●同年10月12日社説「衆院選 安倍首相 説明になっていない」
〈事実関係の解明にはやはり、昭恵氏自身が語るべきだ〉
●2018年1月31日社説「『森友』論戦 かわす政権、募る不信」
〈首相はこれまで「(昭恵氏については)私がすべて知る立場だ」と、昭恵氏に対する国会招致要求を拒んできた。あの発言は何だったのか〉
●同年3月13日社説「財務省の文書改ざん 民主主義の根幹が壊れる」
〈佐川氏と昭恵氏の国会招致が欠かせないのは言うまでもない〉
●同年3月15日社説「『森友』問題 与党は責任を自覚せよ」
〈国有地売却問題では、昭恵氏自身はもちろん、首相夫人付として学園や財務省との連絡役をつとめた政府職員からも、話を聴く必要がある。〉


ここまでくるともはや呪詛に近い。

安倍昭恵
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