今は対イラン戦争に静観を決め込んでいる中国だが、アメリカが中東で消耗し、イスラエルとアメリカの中がこじれればこれほど好都合なことはない。内心、ほくそ笑んでいるのではないだろうか。
技術や兵器が媒介する関係性
日本では、「イスラエルのような国を支援するアメリカが許せない。そんなアメリカと歩調を合わせる日本政府が許せない。しかもイスラエル製の兵器の購入まで検討している!」との怒りの声を聞くことがある。
確かにイスラエルの兵器はパレスチナを「実験場」とする性能実証済みのものとも言え、忌避感情を抱くのはわかる。だがそうした声を上げる人の多くは中国の軍拡には鈍感である。
その中国とイスラエルが実は軍事技術や兵器を媒介に関係を深めているという点については、知っておく必要があるだろう。
その時々、揺れ動いてきたアメリカとイスラエルの関係を、聖書から続く連綿とした歴史と様々な面からとらえる本書の中で、中国との関係性に触れている部分はわずかである。
だが「米中対立」か「米中融和」かが国際社会の行く末を左右する中で、イスラエルがどのような立場を取るのかをうかがわせる記述は見逃せない。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

