終戦80年に思うこと「私は『南京事件』との呼称も使わない」|和田政宗

終戦80年に思うこと「私は『南京事件』との呼称も使わない」|和田政宗

戦後80年にあたり、自虐史観に基づいた“日本は加害者である”との番組や報道が各メディアでは繰り広げられている。東京裁判や“南京大虐殺”肯定派は、おびただしい数の南京市民が日本軍に虐殺されたと言う。しかし、南京戦において日本軍は意図的に住民を殺害したとの記述は公文書に存在しない――。


内閣総理大臣は当たり前に靖国神社参拝を

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そして、終戦80年にあたり、終戦の日や例大祭において内閣総理大臣の靖国参拝が行われないことが極めて大きな問題であることは、もっと着目されるべきである。

昭和49(1974)年までは総理大臣は靖国神社を毎年ごく普通に参拝していた。しかし、昭和50年に三木武夫首相が「私人として」参拝したことを宣言し、この時から「公人か? 私人か?」の区別が始まることとなる。

昭和天皇が靖国神社に御親拝されたのは昭和50年が最後であった。御親拝されなくなったのは、いわゆるA級戦犯とされる方々が合祀されたことにあるとの説があるが、A級戦犯とされる方々が合祀されたのは昭和53年である。元宮内庁長官・富田朝彦による「富田メモ」が、合祀によるご親拝取りやめ説の根拠とする人たちがいるが、これは根拠として希薄である。

私は、内閣総理大臣が、「公人だ、私人だ」と区別して定まらない形では世論に分断を生む形となり、このような状況では天皇陛下に御親拝いただける環境にはなく、これが最大の理由であると考える。だからこそ、内閣総理大臣が当たり前に靖国神社を参拝することが必要なのである。

なお、いわゆるA級戦犯とされる方々が裁かれた「平和に対する罪」は、戦勝国により事後的に考えられたもので、法の不遡及の原則に反することのみならず、現在も国際慣習法で確立していない罪であることは、私の国会質疑(平成26年)に対する政府答弁でも明らかである。

そして、刑罰終了をもって受刑者の罪は消滅するというのが近代法の理念であり、政府は処刑されたA級戦犯とされる方々を公務死として扱っている。中国や韓国からとやかく言われる問題ではなく、それにより靖国参拝が左右されることはあってはならない。私は今年も8月15日の朝いちばん8時に靖国に昇殿参拝している。御英霊に尊崇の念を表し哀悼の誠を捧げることは当然のことである。

安倍首相が戦後70年談話で語ったこと

戦後80年にあたっては、石破茂首相が談話を出すのかどうかが焦点となった。8月15日には、談話や、閣議決定を伴わない“見解”は発表されなかった。石破首相は80年見解の発表に含みを持たせているが、安倍晋三首相による戦後70年談話がどれだけの意味を持ち、正しい歴史に立ち返ったかをしっかり捉えるべきである。

村山富市首相による50年談話の「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」との文言は、我が国にとっても国民にとっても大きな足かせとなったが、安倍首相の70年談話はこの文言を削除した。

村山談話の「侵略と植民地支配」は、小泉首相の戦後70年の談話にも受け継がれ、そのため、外務省ホームページ歴史問題Q&Aには「侵略」「植民地支配」の文言が記載されていたが、戦後70年にあたる平成27(2015)年の私の国会質疑で、「侵略や植民地支配とは日本のどのような行為を指すのか?」と質問したところ、「定義できない」「お答えすることは困難」と政府は答弁、安倍首相の70年談話を経て削除に至っている。

こうした正しい歴史に立ち返る歩みを、着実に安倍政権では進めてきた。このような流れを止めるようなことがあってはならない。戦後80年にあたり、自虐史観に基づいた“日本は加害者である”との番組や報道が各メディアでは繰り広げられている。戦争は一般市民を巻き込む悲惨なものであり、だからこそ抑止によって平和を守る必要性があるが、事実が何であるのかしっかりと歴史を直視しなければならない。

安倍首相による戦後70年談話の「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」との言葉を改めて私たちはかみしめ、歴史を正しい形で受け継いでいかなくてはならない。

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