北朝鮮に対しどのような戦略を取るか
ハガティ氏は現在上院議員となっており、今年はすでに3回来日し、我が国政府与党関係者が訪米の際に会談するなど、正確な情報を伝え意見交換を行ってきた。なお、ハガティ氏はトランプ新政権での国務長官への起用も取り沙汰されている。当然これに加え、我が国トップである総理大臣と米国大統領とのトップ同士の信頼関係構築も重要である。
そして、トランプ氏が再び大統領に就任した後、トランプ氏の極東戦略において注視しなくてはならないのは、対中国も当然であるが、特に北朝鮮に対しどのような戦略を取るかである。北朝鮮は、ウクライナ戦線に派兵をし、核ミサイル開発は4年前に比べ大きく進んでしまった。
実は、平成29(2017)年末から平成30年春にかけて、米国が北朝鮮を攻撃するのではないかという、かなり高いレベルでの危機対応があった。「北朝鮮の核ミサイル開発が進むのなら今のうちに叩かねばならない」との米国首脳部の考えのもと高まった緊張であったが、当時自衛隊トップの統合幕僚長だった河野克俊さんも「相当の確率だった」と明らかにしている。
現在の状況は、北朝鮮がICBMでワシントンを核攻撃できる状況となりつつあり、4年前より悪化している。ひとえに北朝鮮が核開発をやめれば済むことであるのだが、北朝鮮は切り札である核開発を簡単にやめようとするはずはない。その中で、もう一度米国が北朝鮮への攻撃を考えるとなるのか、それとも別のアプローチと圧力で北朝鮮の核開発を抑えるのか、まだトランプ新政権の意志は見えてこない。
正確な情報と分析のもと、日米が連携することが重要である。トランプ新政権は、第一次政権の経験もある。一部メディア等が指摘する「理解不能の行動の可能性も」は、私はないと思っている。トランプ大統領への正確な情報と分析の打ち込みこそが、極東情勢の安定に繋がる。政府与党としてしっかり構築していく。
著者略歴
1974年、東京生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業(日本外交史)。1997年、アナウンサーとしてNHKへ入局。新潟局、帯広放送局、大阪放送局を経て、2009年7月より仙台放送局に勤務。東日本大震災の報道や取材に携わる。2013年、第23回参議院議員選挙において、宮城県選挙区で初当選。2019年、全国比例区で再選。