保守系の弁護士で評論家のマーク・レヴィン氏はそれらの観点に加え、こう訴える。
「バイデンはパレスチナ人やイランへの資金援助を含め、すべてを覆しただけでなく、ことあるごとにネタニヤフ首相を貶め、会談を拒否し、イスラエルがパレスチナ人にもっと譲歩するよう要求した。宥和政策と悪化には結果が伴う」
このように、トランプ政権は、強いアメリカ路線で戦略的に中東を押さえていたが、それを弱腰で融和的なバイデン政権がひっくり返していっているという見方が、トランプ自身とその支持者の間での共通理解となっている。
共和党の政策は孤立主義へと変わるのか
アメリカには今、中国との世界覇権の争い、ロシア・ウクライナ戦争、台湾有事、中東問題、アメリカの南北の国境問題、と対応しなければならない前線が多数存在する。その中で、共和党の政策が今後孤立主義へと変わっていくのかという疑問が様々なところで見受けられる。
例えば、AP通信は10月16日に「イスラエルとハマスの戦争は、共和党の孤立主義シフトを試している」という記事を出し、その中で「共和党のホワイトハウス候補者たちは、長らく国内の台所事情が中心であった大統領選が突然海外に焦点を移し、外交政策上の課題が山積する中、相反するメッセージを発信している」とバイデン政権の外交に対する批判で説得力が弱まる恐れを指摘した上で、「ドナルド・トランプ前大統領の指導の下、共和党は長年支持してきた強硬な外交政策から急激に遠ざかっている」とし、「共和党候補の有権者の56%が、米国は世界情勢においてあまり積極的な役割を担うべきでない」と回答した『AP VoteCast』による昨秋の中間選挙の世論調査を紹介している。
同記事は、(本稿の冒頭でも触れたが)ヘイリーをハマスの「終焉」とイランを含むイスラエルの敵への積極的な対応を呼びかける共和党の守旧派の代表者として浮上中とし、元Foxニュース司会者で独自の人気保守メディアを持つタッカー・カールソンが支援するデサンティスとラマスワミは、より慎重な「アメリカ第一主義」のアプローチを支持しているとし、そして「共和党予備選のトップランナーであるトランプは、個人的な不満に煽られた一貫性のないメッセージで問題を混乱させている」と厳しく位置付けた。