習政権は危機の根底にあるバブル崩壊の進行を止められそうにない。決め手は中国人民銀行による資金の大量増発だが、限界がある。資金発行の原資である外貨の流入が激減している中では、人民元の暴落を招く危険があるからだ。
中央銀行の資金増発なくしては財政出動のための国債増発もままならない。しかも、習政権の監視は大甘だ。国家金融監督管理総局は事態収拾を中植グループの判断に委ねたままだ。政府無策の中、金融危機だけが進行する。その場合、平成バブル崩壊後の日本がそうだったように、中国も長期デフレ不況局面に入るだろう。(2023.08.21国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員。1964年、高知県生まれ。1970年、早稲田大学第一政治経済学部卒。同年日本経済新入社、1984~88年、ワシントン特派員。その後、経済部編集員、米国アジア財団上級客員研究員を経て、1996年、日経香港支局長、1999年、東京本社編集委員となる。2006年、産経新聞に移籍。