尾崎豊没後31年に想うこと 生き続けることの意味|山岡鉄秀

尾崎豊没後31年に想うこと 生き続けることの意味|山岡鉄秀

尾崎豊がこの世を去ったのは1992年4月25日。尾崎と同い年の私も偏差値に偏重する無味乾燥な管理教育に辟易としていたが、当時の私は、人のバイクを盗んで暴走したり、夜の校舎の窓ガラスを壊して回ったりするのは馬鹿げたことだと思っていた――。(サムネイルはアルバム『ALL TIME BEST』)


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30代になって、尾崎の歌が心に響いた

尾崎も石井も、現実に直面し、悩み、虚しさを抱えながらも生きようとする心を歌っている。私が尾崎の「僕が僕であるために」に出会ったのは、すでに30代に入ったころだった。

「僕が僕であるために」

心すれちがう悲しい生き様に
ため息もらしていた
だけど この目に映る この街で僕はずっと
生きてゆかなければ
(中略)
僕が僕であるために 勝ち続けなきゃならない
正しいものは何なのか それがこの胸に解るまで

この曲は尾崎のデビューアルバム「17歳の地図」に収録されている初期の作品だから、尾崎が10代のころに作った歌である。当時、全く興味を持てなかった尾崎の歌が、30代になっていた私の耳に不意に飛び込んで来て、心に響いた。

私はすでに日本を飛び出して、オーストラリアで自分の人生を模索していた。なぜいまごろになって尾崎の歌に強いシンパシーを感じるようになったのか。尾崎が早熟だったのは間違いないが、30代になって急に尾崎が身近に感じるようになり、尾崎の歌を聴き始めた。30代になって、若き尾崎の心情が共有できるようになったのは不思議だ。

歌手としての知名度は石井より尾崎のほうが遥かに高い。しかし、石井は戦い続け、生き続けている。日本の将来を憂いて、自身の動画番組(Heavenese Style)やコンサートを通じて、かつての大和魂を取り戻せと叫び続けている。理解者の輪は確実に広がっている。

私はと言えば、あれほど失望していた日本に戻って、保守言論界の末席から「このままでは日本は消滅する」と警告のメッセージを発している。2人の声は、31年前にこの世を去った尾崎の歌ほどに人々の耳に届くことはない。

それでも、2人は叫び続ける。やがて還暦を迎えても叫び続けるだろう。

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